SDPはOMA(Open Mobile Alliance)が出している代表的なリファレンスアーキテクチャで、いわゆる整理箱。つまり、通信事業者のサービスを提供する基盤として、本来こういう機能群が、こういう階層であるべきだろうと決めているものだ。もともとSDPは通信事業者のなかのサービスの開発期間を短縮する、複合的なサービスの開発をしやすくする、などの目的で検討されてきたもの。OMAが通信側とIT側のスキルを融合していこうということに積極的で、ルーツとしてはParlayという団体があげられる。 「この団体は通信事業者とネットワーク装置のベンダーが集まって結成されたものでした。ここではCORBAをインテグレーションプラットフォームとして採用しました。しかし、ITの世界ではCORBAを使ってプログラムをかける人がそんなにいなかったことなど、ITのエンジニアにとっては使いやすいものではなかったんです。Parlayはテレコムの世界で開発してきた人が見ないとわからないような標準化、インターフェースのきり方をしてました」。ここで登場したのがParlay Xで、WEBサービスのインターフェースをベースに新たな活動がはじまった。
「通信事業者がNGNを実装するのは2年後くらいになってくるだろう」と九嶋氏は話す。しかし、現時点ですでに使えるものもある。IDと決済という部分で九嶋氏が例を挙げたのが、“FeliCa”テクノロジだ。もともとヒューレット・パッカード社は通信事業者向けの課金やオペレーションのソリューションを提供することに実績があったが、この通信事業者でのノウハウを注ぎ込んで開発した「HPのFeliCa対応サーバ製品であるHP IC-Chip Access Server for FeliCaはNTTドコモの903iシリーズから搭載の始まった次世代モバイルFeliCaチップに対応している唯一のソリューション」だ。ちなみに次世代モバイルFeliCaチップでは、メモリ容量も多くなり、文字通りおサイフに入る機能が増えている。 「WEBサービス化を待たなくても、FeliCa技術を用いた高セキュリティーの認証でネットワークにログインし、さらに認証のフェデレーションが可能になる。つまり、認証をセキュアにサービス間で連携することが可能になる」「NGNの基盤がととのってくることで、今のFeliCa技術を使った認証やそのフェデレーションが次の世代に生きてくる」 と九嶋氏は話す。
現在、ヒューレット・パッカードは、物理的なセンターを上海に置き、HP Service Marketplaceを展開している。九嶋氏によると、HP Service MarketplaceはSDPのウェブサービス機能と同じものだという。「現在は情報ポータル的なものにしかなっていないが、外部からテスティングし開発できるような環境を作っていこうとしている」(九嶋氏)。 日本では前述したFelicaのような展開のみだが、NGNではこのような取り組みが広がり、マーケットが作られていくことが期待されている。