第19回東京国際映画祭最終日の29日、黒澤明賞、日本映画・ある視点に続きいよいよコンペティション部門各賞が発表。66の国と地域から寄せられた614本の中から選出された15作品に、アジアの風部門で、最優秀アジア映画賞を受賞したパトリック・タム監督の「父子」を加えた全16作品が審査の対象となった。 今年の国際審査員である、プロデューサーのビル・メカニック氏、ヴェネチア国際映画祭のディレクターでもあるプロデューサーのマルコ・ミュレール氏、インドネシア出身のガリン・ヌグロホ監督、日本の柳町光男監督、そして女優の工藤夕貴氏。海外で撮影中のため欠席の工藤氏を除く4名と、審査委員長で、「デリカテッセン」で第4回東京国際映画祭ヤング・シネマコンペティション部門グランプリを受賞し、「アメリ」の大ヒットでも知られるジャン=ピエール・ジュネ監督の5人が各賞のプレゼンターを務めた。 まず、最優秀芸術貢献賞にはパトリック・タム監督の香港映画「父子」が選ばれ、最優秀アジア映画賞とコンペ部門のダブル受賞という史上初の快挙を成し遂げた。柳町光男監督から賞状、トロフィー、賞金5千米ドルが贈られた。タム監督は「とても名誉でうれしいことです。実は17年ぶりに撮った映画なんです。キャストやクルーに感謝します。今年は良いことばかりです。この映画を撮って、こんなに素晴らしい賞をいただいて」と述べ、主演女優のチャーリー・ヤンは「キャストを代表してお礼を申し上げます。この作品はプロデューサーが信念をもっていたからこそ完成させることができました。そしてお約束します。私たちはもっとがんばって、さらに素晴らしい作品をつくってこの映画祭に戻ってきます!」と力強くスピーチした。 最優秀主演男優賞には、シャルル・ビナメ監督のカナダ映画「ロケット」のロイ・デュピュイが選ばれ、代理として脚本家のケン・スコット氏がガリン・ヌグロホ氏から賞金5千米ドル、賞状、トロフィーを受け取った。スコット氏は「コンニチハ、アリガトウ、サヨナラ(会場笑)。日本語で知っているのはこれだけです。ロイ・デュピュイは素晴らしい俳優です。きっと脚本家に感謝をしていると思います(笑)。もちろんこの映画祭に選んでいただいたことにも。この映画は我が国独特の物語ですが、日本の方々にも理解していただき嬉しく思っています」と述べた。 引き続き、最優秀主演女優賞もガリン・ヌグロホ氏から発表された。受賞したのはアメリカ映画「リトル・ミス・サンシャイン」のアビゲイル・ブレスリン。代理のジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファリス監督が賞金5千米ドル、賞状、トロフィーを受け取った。「アビゲイルは別の映画の撮影をしていて来日できませんでした。この場ににいられなくて残念がっているに違いません。彼女はこの賞に値する素晴らしい演技をしてくれました」とデイトン監督。「私たちは東京で素晴らしい経験をすることができました。アビゲイルも次の作品ではぜひここへ来て経験してほしいと思います。アリガトウゴザイマシタ」ファリス監督が笑顔でスピーチした。 最優秀監督賞には、「ミュージック・ビデオやコマーシャルで数々の賞を受賞し、今回見事な長編映画デビューを飾りました。私にとっては数あるアメリカ映画の中で最高の作品です。審査員全員一致で決まりました」とビル・メカニック氏から紹介され、「リトル・ミス・サンシャイン」のジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファリス監督が再び登壇した。賞金5千米ドルと賞状、トロフィーを受け取った夫婦監督は謝辞を述べるとともに、「人生はコンペティションじゃないという映画を撮ったのに、賞をいただいて愉快というか不思議な感じがしますが(笑)、映画づくりへの励ましなのだと思います。皆さん、これからも映画をつくって行きましょう!」とつけ加えた。「リトル・ミス・サンシャイン」は、観客の投票で選ばれる観客賞も受賞し、これで三冠を達成したことになる。 次に、マルコ・ミュレール氏からルー・ユエ監督の中国映画「十三の桐」に審査員特別賞が授与された。ユエ監督と主演女優のリウ・シンに賞状、トロフィー、賞金2万米ドルが贈られた。「観客の皆さん、審査員の皆さん、映画をつくらせてくれた製作会社の皆さん、そして、スタッフ・キャスト、特に、ここにいる若いリウ・シンに感謝したいと思います」とユエ監督。シンは「初めての映画で、初めて海外の映画祭に来て、監督と一緒に受賞することができてとても嬉しいです」と感謝の気持ちを口にした。(photo by 稲葉九)
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