物議をかもし、韓国での活動が困難になった韓流スターが日本で活動するケースが目立っている。
例えば、グループUN出身のキム・ジョンフンだ。
キム・ジョンフンは4月9日、自身のインスタグラムに「回復 in 静岡」などと日本語で記し、数枚の写真を投稿した。公開された写真では、彼が静岡の旅館に滞在し、浴衣姿で手のキスや頬でハートを作るポーズなどを見せ、ファンと交流している様子がうかがえる。金髪のスタイルが目を引く。
その3日前には、「昨日は本当に春だった。みんなありがとう」と日本語で書き、ステージに立っている自分の写真を投稿した。これは4月5日に東京で行われたライブ「TimeMachine」の写真と見られる。
日本で精力的に活動を続けているわけだ。

2000年にUNのメンバーとしてデビューしたキム・ジョンフンは、数々のヒット曲で人気を博し、バラエティ番組でも活躍した。しかし、2度の飲酒運転と私生活に関する論争によって事実上、韓国芸能界を退場している。
まず、2011年に飲酒運転で免許が取り消され、議論を呼んだ。
さらに2019年には、元恋人A氏との訴訟問題でも注目を集めた。A氏は妊娠をめぐる葛藤や金銭問題でキム・ジョンフンを相手取り訴訟を起こした。A氏はキム・ジョンフンと交際中に妊娠したが、中絶を強要されたと主張した。
この訴訟は取り下げられたが、大きな波紋が広がった。キム・ジョンフンもA氏を相手に1億ウォン(約1000万円)の損害賠償請求訴訟を提起したが、2022年に裁判所で棄却された。
そして2023年12月にソウル江南(カンナム)で、再び飲酒運転による事故を起こし、罰金刑を受けている。

キム・ジョンフンは二度目の飲酒運転という議論のなかで、これといった自粛もせず、日本のファンにターゲットを絞った。2024年1月に大阪と東京で誕生日ファンミーティングを開催し、活動を続けたのだ。当然ながら、彼の行動は韓国で非難を浴びた。
日本を“食い物”にする韓流スターたち
キム・ジョンフンと同じような歩みを見せているのは、東方神起出身のパク・ユチョンだ。彼も非難を浴びる韓国ではなく、日本での活動を重視している。
麻薬投薬の容疑で起訴されたパク・ユチョンは、2019年に懲役10カ月、執行猶予2年を言い渡された。疑惑が浮上した当時、パク・ユチョンは緊急記者会見を開き、「決して麻薬をしていない。していたら引退する」と潔白を主張したが、麻薬検査で陽性反応が出て投薬の疑いが認められた。

この騒動で韓国芸能界から事実上の退場となったが、1年ぶりに引退発言を覆し、海外を中心に活動を再開した。
特に話題になったのは、2024年2月に日本で行った高額のファンミーティング兼ディナーショーだ。横浜迎賓館で開催されたディナーショーのチケット料金はなんと5万2000円だった。同年12月には日本デビューミニアルバム『Where I Walk』もリリースしている。
彼らの例を見れば明らかなように、本国での活動が難しい韓流スターが目をつけるのは日本に他ならない。
ロックバンドFTISLAND出身のチェ・ジョンフンもその一人だ。
彼は2016年1月から3月にかけて、歌手チョン・ジュニョン、クラブ「バーニングサン」の元MDキム氏、会社員クォン氏、芸能事務所元職員ハ氏らと共に、酒に酔った女性たちを集団で性的暴行して不法撮影した容疑で、2019年5月9日に拘束された。
1審で懲役5年を宣告されたチェ・ジョンフンは、控訴審、上告審を経て懲役2年6カ月が確定。集団性的暴行容疑のほかにも、賄賂供与意思表示および性暴力処罰法違反(淫乱物配布)の容疑で懲役1年、執行猶予2年を宣告され、2021年11月8日に満期出所した。

出所したチェ・ジョンフンはしばらく静かに過ごしていたが、2024年1月、日本のファンコミュニティサービス「FANICON」に公式チャンネルを開設し、活動再開を知らせた。
彼は、FANICONを通じて「5年ぶりに皆さんに挨拶する。皆さん一人ひとりのメッセージから力を得て、こうして元気な姿をお見せできるようになった。本当に感謝している。今後、私がやりたいことやプライベートなことなど、すべてをお見せしたい。皆さんと明るい未来を作れるように努力するので、応援してほしい」などと挨拶した。
しれっと日本を通じて芸能活動に復帰したチェ・ジョンフンには、韓国から厳しい批判が続いている。
それにしても、なぜ彼らは日本での活動に活路を見いだすのか。そこには、日本特有の「再起を許容しやすい社会風土」と「献身的なファンの存在」が大きく関係していると考えられる。
日本は韓国に比べて、時間の経過と共に過去の問題を「水に流す」文化が根強く、復帰への空気が比較的穏やかだ。さらに、一度ファンになったら長く支持し続ける忠誠心の高いファンが多いため、復帰を支えてもらえる可能性が高い。
また、日本での過去の活動実績やファンベースが残っており、再始動の足場として機能しやすい面も影響していると考えられる。スキャンダルに対する日本メディアの追及が比較的抑制的であることも、再起のタイミングをコントロールしやすい理由の一つだろう。
そうした複数の理由で、日本が復帰の足場となっているわけだ。
韓国での居場所を失った韓流スターにとって、日本は「救済の地」にも「商機の場」にもなっている。はたしてそれがいつまで通用するのか、今後の動向を見守りたい。
(文=スポーツソウル日本版編集部)
◇パク・ユチョン プロフィール
1986年6月4日生まれ。韓国・ソウル出身。身長180cm。小学校高学年からデビュー前までアメリカで生活。2004年に東方神起のメンバーとしてデビュー。グループ脱退後、ジュンス、ジェジュンとともにJYJを結成。歌手として活躍する一方で、ドラマ『トキメキ☆成均館スキャンダル』『ミス・リプリー』『屋根部屋のプリンス』などを通じて俳優としても高く評価された。2019年7月、麻薬を使用した容疑で懲役10カ月、執行猶予2年の判決を受けた。
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