いくら“金の論理”で動くメジャーリーグとはいえ、いつまで見守らなければならないのか。
ロサンゼルス・ドジャースのユーティリティ野手クリス・テーラー(34)の不振が深刻だ。このまま不振が続くようであれば、キム・ヘソン(26)にポジションを譲らなければならないかもしれない。
ドジャースは9日(日本時間)、ワシントン・ナショナルズに2-8で敗れ3連敗を喫した。チームで実に15個の三振を喫し、12個の残塁という打線低迷のなかで、開幕10試合で9勝1敗という勢いが衰えた。
打線には打率1割台と不調な選手が多くいるなか、最も深刻な選手がまさにテーラーだ。打率は0.143、OPS(出塁率+長打率)は0.286と、一般的な打者の打率よりも低い。
同日のナショナルズ戦、テーラーは6回の守備から交代出場したが、打撃では2打数無安打の2三振だった。8回、先頭打者として相手右腕ジャクソン・ラトレッジ(26)の4球目、外角高めのシンカーに空振り三振。9回一死一、三塁のチャンスでも、同じく外角低めのカットボールで空振り三振を喫した。
同日までのテーラーのシーズン成績は、打率0.143(7打数1安打)、1得点、0四球、3三振、出塁率0.143、長打率0.143、OPS 0.286。シーズンはまだ序盤も序盤であり、10打席にも満たないとはいえ、打撃の内容が悪いことは確かだ。

2016年シーズン中にシアトル・マリナーズからトレードでドジャースに移籍し、内外野をこなすユーティリティとして才能を開花させたテーラーは、打撃でも安定感を誇った。ドジャース移籍後にレッグキックを取り入れて打撃メカニズムを修正し、2017年の21本塁打含め通算6シーズンで二桁本塁打を記録した。
しかし、昨季は87試合出場で打率0.202(213打数43安打)、4本塁打、23打点、出塁率0.298、長打率0.300、OPS 0.598と打撃成績が大きく落ち込んだ。今年2月には「ここ数年は自分の望むレベルに達していなかった。身体的な問題や年齢のせいではなく、技術的な問題だ。しっかりと立て直して、4~5年前の姿に戻りたい」と、年齢による衰えを否定して復活の意思を見せていたが、オープン戦から好調とは言えない。
オープン戦では打率0.205(39打数8安打)、2打点、2四球、20三振、出塁率0.244、長打率0.342、OPS 0.586と不振だった。三振率は38.1%に達し、開幕後も7打席で3三振を喫している。
いくら守備で価値が高い選手とはいえ、打撃はほとんど“自動アウト”のレベルであり、30代中盤という年齢を見ても今後の巻き返しを期待するのは難しい。
そんなテーラーをドジャースが見限ることができない理由は、やはり年俸だ。2021年12月にドジャースと4年6000万ドル(日本円=約88億円)で延長契約したテイラーは、今年の年俸が1300万ドル(約19億円)に達する。来年には1200万ドル(約17億円)の球団オプションがあるが、ドジャースがこれを行使することはまずない。今年が契約最終年となるため、球団としてはどうにかテーラーを“活かさなければ”ならない。
しかし、今のような成績なら長くは待てない。“埋没コスト”と割り切るしかない。ほかのユーティリティ選手の打撃も決して好調ではないが、それでも一発を見せているのに比べれば、テーラーには大きな期待を持てない。

もしドジャースがテーラーを見限るときがくれば、そのポジションはキム・ヘソンに渡る可能性が高い。
ドジャース傘下マイナーAAAのオクラホマシティ・コメッツでシーズンをスタートさせたキム・ヘソンは、9試合で打率0.308(39打数12安打)、9打点、10得点、4四球、13三振、4盗塁、出塁率0.386、長打率0.487、OPS 0.873を記録している。
9日のラウンドロック・エクスプレス(テキサス・レンジャーズ傘下)戦では二塁打を含む6打数3安打、3打点、3得点、1盗塁と活躍した。守備も本職のの二塁手だけでなく、遊撃手、中堅手としてそれぞれ3試合ずつ出場するなど、複数ポジションをこなしている。
キム・ヘソンはすでにテーラーの“代役”となる準備ができている。
(記事提供=OSEN)