『ソウルの春』キム・ソンス監督「二度とこのような悪いことを繰り返してはならない」」 | RBB TODAY
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『ソウルの春』キム・ソンス監督「二度とこのような悪いことを繰り返してはならない」」

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© 2023 PLUS M ENTERTAINMENT & HIVE MEDIA CORP, ALL RIGHTS RESERVED.8月23日(金)新宿バルト9 ほか全国公開
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1979年10月26日、独裁者とも言われた大韓民国大統領が、自らの側近に暗殺された。国中に衝撃が走るとともに、民主化を期待する国民の声は日に日に高まってゆく。しかし、暗殺事件の合同捜査本部長に就任したチョン・ドゥグァン保安司令官(ファン・ジョンミン)は、陸軍内の秘密組織“ハナ会”の将校たちを率い、新たな独裁者として君臨すべく、同年12月12日にクーデターを決行する。一方、高潔な軍人として知られる首都警備司令官イ・テシン(チョン・ウソン)は、部下の中にハナ会のメンバーが潜む圧倒的不利な状況の中、自らの軍人としての信念に基づき“反逆者”チョン・ドゥグァンの暴走を食い止めるべく立ち上がる。

8月23日公開となる『ソウルの春』。韓国で公開されるやいなや、事件をリアルタイムで知る世代はもちろん、事件を知らない若者たちの間でも瞬く間に話題となった。独裁者の座を狙う男チョン・ドゥグァンへの激しい怒りと、彼に立ち向かったイ・テシンへの共感に、心をそして魂を揺さぶられた観客たちの世代を超えた熱量に支えられ、最終的には国民の4人に1人が劇場に脚を運び、『パラサイト 半地下の家族』などを上回る1,300万人以上の観客動員を記録した。

また同作品は第60回百想芸術大賞にて、映画部門の大賞(キム・ソンス監督)、作品賞、男性最優秀演技賞(ファン・ジョンミン)の3冠に輝くなど賞レースも席巻した。

この度公開に先駆けて13日、新宿バルト9にて、本作の先行上映会を実施。上映後キム・ソンス監督がオンラインで舞台挨拶に登場し、観客とのQ&Aを行った。

---監督のオファーがあったとき、一度は断った理由と挑んでみようと思った理由について。

このストーリーは反乱軍が勝利した記録でもありますので、ややもすれば、彼らの勝利を美化してしまうことにもなりかねないのでバランスのある視点でアプローチしたい、そのようなプレッシャーがあり最初はお断りしました」と語ったうえで、「映画の最初のほうのシーンでイ・ソンミンさん演じる陸軍参謀総長が拉致される銃撃戦がありますが、まさに私の家の近くで起きた出来事で、私はその場でその銃声を聞いていたのです。そのとき好奇心旺盛な19歳だったので何があったのかと思い、陸軍参謀総長の公館を見に行きました。夜遅い時間だったので、明かりは消えているけれど銃声はきこえる、そんな状況でした。いまでもこの話をしながら、その時の記憶がありありと浮かんできます。なぜこんなソウルのど真ん中で、軍人同士が銃を向け合っているのか、ずっと知りたいと思ってきましたが、この出来事はある時期まで徹底して隠されていたので知る由もなかったけれど、何が起きていたのかいつも知りたいと思っていました。それから17,8年たって、事件の内幕が知られることになり私は強い憤りを感じました。そしてこの内幕について多くの人に知ってほしい、という気持ちをずっと持っていたので、この映画のオファーをうけることになりました

---実際の事件を基に一部フィクションを交えてながら描かれているのは

私自身、事実を伝えることが目標ではなく、この映画を通じて、その当時一体何があったのかを詳細に多くの方に知ってほしいという思いがありました。そして多くの方に知ってもらうためには、まずは映画を面白く観てもらう必要があると考えていました。映画を面白く観ていただければ、その当時何が起きていたのかを観客の皆さんが自ら調べてくださるのではないかとも思っていました。ですので、とにかく映画を楽しんでご覧いただけるように作ること、また人物を魅力的に描いていくこと、そういう側面でフィクションを加えていきました。監督としては、あくまでもフィクションは事実を伝えるための道具であった、と言えると思います

---同作の前後の事件はこれまで映画化されているが、なぜこの事件はずっと映画では描かれてこなかったのか?

この1979年12月12日に起きた“12.12軍事反乱”とよばれている事件は、韓国近現代史において転換点といえる事件です。しかし当時から権力の中枢にいた新軍部の勢力、のちにハナ会は解体されていますが、ずっと長い間韓国で既得権を得て権力を握っていたこともあり、この事件を大衆的な劇映画として扱うことはなかなか難しかったという背景があります。そんな中、本作の製作会社の代表が勇気を持って企画し、私もその勇気に力を得てお引き受けた。だからといって、私たちがとりわけ勇気があったわけではなく、そのような背景があったということも事実だと思います

---もしこのクーデターを防ぐことができていたら韓国の歴史がどうなっていたか?

この事件に遭遇した私は、そのあと20代30代となった中でも絶えず“なぜこのようなクーデターが起きたのか、なぜ軍事政権が終わりを告げたのに、また軍部独裁がはじまってしまったのか”と何度も考えました。このような軍事政権が続くことによって、私の20代はずっとデモにあけくれて催涙弾を浴びる羽目になる…そんな状況におかれ、新軍部についてはずっと恨めしい気持ちがありながら生きてきました。しかしこの惨い出来事があったからこそ私たちは抵抗して声をあげてきたわけです。人生の中では悪いこともおきますし、もちろん起きては欲しくないですが、それゆえ、再び二度とこのような悪いことは起きてはならない、という気持ちを強くさせた側面もあったかと思います。こういうことを私たちの歴史で繰り返してはならない、と強く心に誓う、そういう肯定的な側面もあったとも思っています

《RBB TODAY》

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