70年代オカルトブームの一翼を担った漫画家・つのだじろう原作のコミック「恐怖新聞」を、「リング」「仄暗い水の底から」で知られる映画監督・中田秀夫が現代にリブートした同作。「恐怖、外連味(けれんみ)、共感」からなる“3つのK”を見どころとして、1日読んだら100日ずつ寿命が縮む恐怖の新聞を取り巻く、新たなルール系ホラーが描かれる。
今回、主人公の女子大生・小野田詩弦を演じる女優の白石聖に、クランクインを間近に控えたタイミングでインタビューを実施。
連ドラ初主演にして初のホラー作品へ挑む心境、リハーサルの様子、そして、母親役を演じる女優・黒木瞳への印象などについて聞いた――。
――はじめに、連ドラ初主演が決まった時の気持ちを教えてください。
白石:「オトナの土ドラ」は、昨年「絶対正義」でもお世話になった枠ということもあって、今回、また新たにお話をいただいた時は率直にすごくうれしかったです。連続ドラマ初主演となりますが、そこはあまり意識しないようにしています。
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――「恐怖新聞」という作品への印象は?
白石:お話をいただいて、最初に「恐怖新聞」を読ませてもらった時に、「これどうやって実写にするんだろう?」って正直なところ思ったんですよね。あの原作の感じをそのまま表現するとなると、コミカルになってしまいそうだなと。
――台本を読んでどんな感想を持ちしましたか?
白石:ほんとに怖かったです(笑)。また、読み進めていくうちに、詩弦の立場になって気持ちが沈みもしました。「次のページ何が起こるんだろう?」「ああ、やっぱり……」みたいな。「どんどん悪い方向に行っちゃうじゃん……」っていう止まらない負の連鎖を感じましたね。
――今回、ホラー初挑戦となるわけですが。
白石:私にとって一つひとつのシーンが「挑戦」になるんですよね。お芝居をしていく上で、ひと皮むけるきっかけになるんじゃないかなと思います。今回、私が演じる詩弦は様々な恐怖体験に巻き込まれていく役です。視聴者の皆さんは私と一緒に「わっ!」とびっくりすることも多いかと思うので、表情や息遣いなど演技の引き出しを見つけて表現していきたいです。
――ちなみに、ホラー作品を観るのは得意?
白石:観るのは好きですね。得意かと言われたら、積極的に観るわけではありませんが、苦手というわけでもありません。テレビでオカルト系の番組がやっていると興味津々で観てしまいます。
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――この作品は、1日読んだら100日ずつ寿命が縮むルール系ホラー作品です。白石さんが仕事などで決めているルールはありますか?
白石:次の日に演じるシーンの台本を見て、ト書きやセリフなどをノートに書き写しています。声に出して覚えるというのも一つの手だと思うのですが、それだと「音」で覚えてしまうんですね。相手とお芝居をやる時に余計セリフっぽくなって、「用意されたもの」という感じが自分の中で勝手にしているので、書いて覚えるようにしています。
―ー初めてタッグを組む中田秀夫監督の印象は?
白石:中田監督とお仕事がしたい方って本当にたくさんいると思うんですよ。その中で、ご縁あって一緒にお仕事ができるのは、すごくありがたいです。それに、初めてのホラーを中田監督に撮っていただけるのはとても心強いです。不安が少ないんですよね。リハーサルをしていても、中田監督のおっしゃっていることがすごく的確でわかりやすいので、「ついていこう!」という感じです。
―ー中田監督の作品をご覧になったことはありますか?
白石:最近だと「スマホを落としただけなのに」を観ました。あと、黒木瞳さんが出演されている「仄暗い水の底から」も以前鑑賞したのですが、ほんとに怖くて! でも、怖いだけじゃなく、切なさもあって泣けました。
――その黒木瞳さんが今回、お母さん役となります。
白石:初めてお話を聞いた時は「あの黒木瞳さん!?」っていう気持ちが強かったです。ずっとテレビで観てきた方なので、すごい不思議な気持ちになりました。大先輩であり大女優の黒木さんと、今回親子の役で共演できるのはありがたいと同時に、緊張もしますね。
――白石さんから見て黒木さんはどんな女優ですか?
白石:私が分析するのも失礼かなと思うのですが、本当に多彩な方という印象です。「過保護のカホコ」では可愛らしいお母さん役をやられていて、中田監督とはホラー作品でご一緒されていますし、しかも、監督もされていますよね。女優さんだけでなく、物語を作る監督側の目線も持ち合わせていてすごいなと思います。
――ホラー作品の撮影が続くと、気持ちの面で負荷がかかるかと思います。撮影にあたって精神衛生を保つ目的でやろうとしていることなどありますか?
白石:今、探し中です。撮影が始まったらほんとに気分が沈んじゃいそうで……母親にも真剣に「(台本を)読まないで、お願いだから」と言われまして(笑)。自分の中でどうやって切り替えをしようか悩んでいます。普段だったら「モウちゃん」といううちの猫と戯れていれば、リフレッシュできるんですよね。でも、今回は泊りで京都での撮影ということで、モウちゃんを連れていけないので。今のところは、家族とリモートで電話することがリフレッシュのカギになるのかな~とか考えています。
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――コロナ自粛開けのドラマ撮影で、仕事勘は取り戻せそうですか?
白石:自粛生活に慣れ過ぎて……(笑)。ただ、先日リハがあったので、その時に『そうだ。この感じだ』というの感覚を取り戻せましたし、完全には忘れていなかったです。
――リハーサルでは手ごたえを感じましたか?
白石:いや~、どうでしょう。今、リハではフェイスシールドをつけなければいけなくて、たとえば、学食で飲食しながら会話するシーンでは、「あ、飲めないんだ」となったり、寝返りを打つシーンでも思うように打てなかったり……。本番の時に、「想定していた動きにならなかったらどうしよう」という、“フェイスシールドの壁”があります。
――それはもどかしいですね。
白石:そうなんですよ。リハの段階からボルテージをあげてしっかりとやりたいのですが……でも、撮影に入れば、セットもしっかりと組まれて、衣装も着たうえでその空間に入れるわけですから、フェイスシールドは気にならなくなるんじゃないかなと思います。
――最後に、視聴者へのメッセージをお聞かせください。
白石:今作は恐怖新聞やそれを取り巻く人間関係を背負い込んだ詩弦が、「自分がどうして存在するのか」を深く考えて葛藤し続ける物語になっていて、彼女の成長が見られるかと思います。また、ドラマの中だからこそ表現できる外連味(けれんみ)や演出もたくさんあると思うので、そこを面白く観ていただけたらうれしいです。