
芥川賞作家の顔を持つピース・又吉直樹の小説を映画化した本作。前衛的な作風がゆえ、劇団員からも客からも見放された脚本家・演出家の永田(山崎)と、彼を必死に支えようとする沙希(松岡)の恋愛ストーリー。今回、新型コロナウイルスの影響もあり、マスコミのみイベント会場へ。来場者は、別のホールで2人のトークを見守った。

VTRでは仕事で来られなかった松岡が登場。観客やマスコミに感謝を述べつつ「いろんな大人たちが悩んで、導き出した答えが、単館系での上映と(Amazon Prime Videoの)配信」と今回の公開形態を説明。新しい試みであり、海外のファンも見られるメリットを説明しながらも「でも、映画を愛する行定さんのことだから、葛藤も苦悩もあったと思うし、映画に携わる皆様も一筋縄ではいかない想いがあったと思う」と関係者の気持ちを汲んだ。


そんな彼女に山崎は「撮影に入る前に、茉優ちゃんと連絡を取って、共通認識で『こういう作品でこういう結末があるから、どういう時期にどういうことを思って……』っていうのを話し合おうって言ってくださって。本当に頼もしい同世代の女優さんだと思うし、これからも(映画界を)盛り上げていけたら」と心境を吐露。「茉優ちゃんありがとうございます」と礼を述べた。

行定監督も松岡のコメントについて「松岡は僕が抱えているものを想像しながら喋ってくれた」と言いつつ、今回の形式になって良かったとコメント。「完成したものは映画館で届けたい」と言いながらも「コロナ禍の中で、選択があったもいいんじゃないか」と理解を示した。

改めて松岡に話を戻し「いろんなことを察してくれる女優」と絶賛。続けて「松岡が打ち出すことに対して、山崎が衝動的にどう受け止めるのか、逆に跳ね返すのか、この映画にふんだんに入っている。この2人の芝居を全世界の人に見てもらえるのが嬉しいです」と喜びの言葉を口にした。
映画『劇場』は、全国のミニシアターとAmazon Prime Videoにて絶賛公開中だ。