昭和世代の方ならご存知だろう。ザ・ピーナツやクレージーキャッツが演じる人気コメディ番組「シャボン玉ホリディ」で、タレントの植木等が意表を突いた場違いの姿で突然登場すると「お呼びでない。こりゃまた失礼しました」と去っていくギャグのシーンを思い出す。
会社法違反(特別背任)などの罪で起訴された日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告が、保釈保証金10億円を納付し、東京拘置所から保釈された。ただ、逮捕から3カ月半ぶりに塀の外に現れたゴーン被告は、まるでコメディアンのような前代未聞の変装姿だった。
きょうの各紙も「作業服姿で軽ワゴンへ、スズキ製の車に塗装会社名、帽子は鉄道整備会社、ゴーン前会長報道陣には語らず」(朝日)などと-報じるように、カリスマと呼ばれた辣腕経営者の予想もしない姿にビックリした人も少なくないだろう。
その光景を各紙は社会面などで詳細に伝えている。例えば、「午後4時半すぎ、東京拘置所の出入り口に反射テープが付いた作業服を着込み、帽子と眼鏡、マスクで顔を隠した男性が現れた。身柄拘束されて108日。変装したゴーン被告だった」と。
しかも「建物入り口に横付けされ、乗り込んだのは『春日部』ナンバーのスズキの軽ワゴン・エブリイ。屋根には脚立を乗せた作業用に見える車。運転手も作業着姿の念の入れよう」とも。さらに「直前に入ったフランス大使館のルノーでもなく、報道陣が警戒していた黒塗りのワゴン車でもなかったため、100人を超える報道陣は大混乱。『本当にゴーン被告だったのか』と右往左往した」という。
ただし、きょうの社会面には「カリスマ眼光衰えず」(産経)などのタイトルで、千代田区の弁護士事務所を出る際は、スーツ姿で帽子もマスクも外し、「変装」を解いていたという。その時の写真は眼光も鋭い表情を浮かべているが、日産社員の「過去の人。変装の理由がわからない」と突き放す談話も取り上げていた。派手なパフォーマンスで目立つことが大好きなゴーン被告だが、あの変装ぶりには何とも理解に苦しむ。
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2019年3月7日付
●ゴーン被告保釈、勾留108日、保証金10億円納付(読売・1面)
●トヨタ「英生産撤退も」欧州法人社長、「合意なき離脱」の場合(読売・8面)
●トヨタが月面探査協力、12日に発表、JAXAと(読売・8面)
●車・電機ベア攻防激化、13日集中回答、一時金も厳しく(読売・9面)
●エンジン車販売海南省2030年禁止、中国政府も検討(朝日・8面)
●軽のN-BOX 18か月連続1位、2月の新車販売(朝日・8面)
●作業服姿で軽ワゴンへ、スズキ製の車に塗装会社名、帽子は鉄道整備会社、ゴーン前会長報道陣には語らず(朝日・39面)
●ルネサス6工場停止、最大2か月、中国向け半導体不振(毎日・6面)
●100自治体で相乗り実験、トヨタ・ソフトバンク3年で提携拡大(毎日・6面)
●みずほ、6000億円損失計上、今期、店舗・システム減損(日経・1面)