毎年開催されているこの展示会。ひととおり見学した感想としては、ますます面白くなっているというものだった。訪問した人は、これだけ放送の現場が進化しているということをデモを交えて実感できることだろう。
■ダイジェスト映像を自動的に制作
番組の要約(ダイジェスト)映像も今後は自動生成されるようになるという。映像自動要約システムは、任意でチェック項目を設定し重要度に合わせて場面を自動抽出。例えばSNSでの盛り上がりスコア、テロップ量に関するスコア、映る人に関するスコア、カメラの動き量に関するスコアなどといった項目を設定して重みづけを配分。総合スコアの高いシーンや映像を集めて生成してくれる。
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現在、ダイジェストは手動で制作されている。これは非常に手間のかかる作業だろう。「一部に自動化は導入されていないのか?」と聞いてみたが、まだないとのこと。スタッフによると、このシステムはダイジェスト映像を制作するばかかりでなく、シーンの抽出技術を応用すれば「多くの投稿作品を選択できるようになったり」「過去の大量の番組をある観点で選びなおすことにも役立ちそう」とのことだ。
■SNS上の事件・事故情報をAIで解析
今、ニュースの現場にはAIがどんどん活用されている。新聞社や放送局は現在、AIを使ったSNS分析を急いでいる。大量に書き込まれる投稿を抽出し、事件・事故・災害情報などをウォッチしているのだ。
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NHKでは1日800万件ほどの投稿を解析し、そのなかから事件や事故に関するものを24のカテゴリーに分類。さらに47都道府県にわけている。もちろん、最終的な確認は人がやらなければいけない。が、テキストばかりでなく画像解析などもAIに学習させることで、なるべく信ぴょう性の高い情報を整理できるようにしている。
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「現在、報道系の部署のなかでもネットよりの報道部でSNSを監視。10人が見ています。まだ研究段階ですが、現場には今年の2月から見せ、グッドボタン(いわゆる「いいね」)などもインターフェイスに追加しながらAIの精度を高める工夫をしている」という。
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いわば大量のタレコミ情報の精度をAIを使って高めているようなもの、と言ってしまってもよいような気がする。
■平昌五輪での羽生選手の演技をフルスペック8Kで体感
「画面から(人が)出てきそう」「ワールドカップをこれで見たかった」。そんな声が見学者のなかから聞こえてきたのが、88インチのシート型8K有機ELディスプレー。88インチの有機ELは展示されているLGエレクトロニクス製だけとのこと。「大型の有機ELを量産しているところはLGだけなので、一緒に8Kの駆動装置を開発して研究している」と説明員。サムスンも作ってはいるが中小型の有機ELになるという。
現場では驚くほどの高精細な映像が流れていたが、有機ELにすることのメリットについては「バックライトが不要なので薄型化でき、コントラストも完全な黒がでるので非常にいい。高視野角です」。ただ大型パネルは1社しか出していないので、価格が高いのが欠点だと話した。
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ちなみにNHKが制作した8Kコンテンツ(音声も含む)は、小さめの映画館にようになっている8Kシアター講堂で体験できる。ここでは「NHKバレエの饗宴」「サカナクション ライブ」「平昌オリンピック フィギュア」のダイジェストが体験できる。フィギュアは女子ショートからザギトワ選手、男子シングルショートから羽生結弦選手の演技を体験可能。
同講堂はフレーム周波数120Hz(フレーム/秒)、HDR、高色域、22.2マルチチャンネル音響のフルスペック8K対応プロジェクターシステムを装備している。