しかし、ひと気が少ないだけに定期的に巡回することには限界があるし、災害監視用に監視カメラを設置していても常時モニタリグンして火災の発生に目を配るということは現実的には難しい。
そうした課題の解決に役立つ可能性を秘めた技術を、日立製作所は、東京国際フォーラムで開催した「Hitachi Social Innovation Forum 2016 TOKYO」にて展示していたので紹介していこう。
その技術は、監視カメラの映像をもとに画像解析を行うことで煙を検知し、火災の予兆を把握し、管理者に通知するというもの。
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一般的に屋内で発生した火災を検知するシステムとしては、煙感知器や熱感知器があり、人口が多い都市部で発生した火災は近隣住民による早期の通報も期待できるが、山林や人口過疎地域で発生した火災は早期発見が難しく、大規模な火災につながる危険性がある。そうした課題解決を目指しているのが、同技術だ。
仕組みとしては、監視カメラでとらえた映像から非定型物体の領域を抽出し、その拡散する動きや濃淡などのパラメータにより煙を判別する。理屈としてはわかりやすいが、実際に監視カメラの映像から煙を検知するのは意外と難しく、雲や鳥の群れを煙と誤認識してしまうことも多いが、同システムなら独自のアルゴリズムを用いることで、そうした課題を克服できるという。
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ただ、ビルの屋上などに設置されたエアコンの室外機やダクトから出る排気や水蒸気など、煙によく似た拡散をするものに対しては、煙と判別することは現段階ではまだ難しく、都市部よりも山間部などの広域監視に向けたシステムとなる。
なお、システムに組み込む監視カメラに関しては、スペックやメーカーのしばりは少なく、基本的には既存の監視カメラシステムに組み込んで利用することができるという。