若くして夭折した作家、伊藤計劃のデビュー小説『虐殺器官』。2015年に円城塔との共作『屍者の帝国』と、遺作である『ハーモニー』と共に3作連続公開される予定だったが、制作スタジオの倒産により公開延期、新スタジオ「ジェノスタジオ」で制作継続が発表されていたが、今回正式に今冬公開のアナウンスがなされ、ファンたちを喜ばせた。『虐殺器官』は2006年に小松左京賞最終候補までノミネートされ、2007年に発売され、「ベストSF2007」国内篇第1位、「ゼロ年代SFベスト」国内篇第1位など数々の賞を得た話題作だ。「月刊ニュータイプ」で漫画化やアメリカでの実写映画化などアニメ映画化以外のメディアミックスも数多く行われている。今回公開時期の発表だけではなく、6月9日に放送された「ノイタミナ」枠にて新規映像がお披露目となった。本作を公開するために設立されたという「ジェノスタジオ」の気合が感じられるクオリティの高い映像が短いながらも新規公開映像から感じられる。キャスト陣の重厚な演技にも注目が集まる。大塚明夫演じるロックウェルの重々しい様子で罪状を述べるセリフから始まり、中村悠一演じる主人公のクラヴィス・シェパードが世界中で起こっている虐殺の黒幕であるジョン・ポールの暗殺を口にしたあと、めまぐるしくシーンが移り変わり、ハイクオリティなシーンの数々が流れていく。そしてそのジョン・ポール演じる櫻井孝宏の意味深なセリフで予告の幕は降りるというファンならずとも気になる展開となっている。果たしてジョン・ポールは本当に虐殺の黒幕なのか。そしてクラヴィスはいかなる選択を迫られるのか。答えは是非、この冬劇場で確かめて欲しい。(C) Project Itoh / GENOCIDAL ORGAN