あらゆるものをインターネットにつなげることで新たな産業の創出が期待されている技術「IoT」に注目が集まっているが、まだまだこれからの技術ということもあり、具体的にどんなことができるのか?ということは今ひとつイメージしにくい。 そうしたなか、幕張メッセで10日まで開催されている「Interop Tokyo」の富士通グループのブースでにて富士通九州ネットワークテクノロジーズが参考展示していた「下水道氾濫検知システム」がIoTの防災活用という面でとても分かりやすかったので紹介していこう。 昨今、被害が出ているゲリラ豪雨などの突発的な集中豪雨が発生した場合には、下水道が氾濫してしまうケースが増大しているという。しかし、限られた人員と財源で対応にするには限界もあり、効果的な対応策が求められていたそうだ。 そうした問題を解決するために同社が開発したのが、マンホールに水位センサーを設置し、その情報を収集&集約し、見える化することができる「下水道氾濫検知システム」となる。 極めてシンプルな発想ではあるが、実現しようと思った場合には、これまでセンサーの電源確保の問題、熱や衝撃、水などの影響を受けることが多いマンホールへの設置に耐えうるセンサーの耐久性の問題など、幾つかの克服すべき課題があったという。 そこで同システムでは、日光や外気温により熱くなったマンホールの熱を利用した環境発電ができる「熱電変換モジュール」と衝撃や水、熱に強い水位センサーノード、水位センサーを使うことで課題を克服。 すでに福島県郡山市で実証実験が行われているところで、ゲリラ豪時の下水道水位データの取得に成功したり、氾濫兆候や下水道の余力を把握することができているという。 ちなみに同システムのベースとなるのは、同社の「QSIP(QNET Sensor Network IoT Platform)」というセンサーネットワーク/IoTプラットフォームパッケージで、「下水道氾濫検知システム」のほかにも、茶畑に設置されている防霜ファンの故障検知システムとしても実証実験が完了している。 「QSIP」では、公共施設、オフィス、社会インフラなどさまざまな分野・業界でIoT化を考えているユーザーに対して、監視・分析・制御をワンストップで提供できるソリューションとなる。 IoTという技術は、できることが多いゆえになかなか個別のイメージがしにくい部分もあるが、今回紹介したシステムのような形で、防災に役立てることもできるのだ。