AIと並行してロボットも人間の身体に近づいている。トヨタがアメリカのロボット開発会社のボストンダイナミクスをグーグルから買収すると聞いた時は驚いた。同社製作の犬型ロボットはあまりにリアルな動きをすることで有名。蹴飛ばされた時に体制を立て直す様があまりに本物ぽいので動物愛護ならぬロボット愛護からの非難の声も上がったほどだ。 マインドスポーツの世界に限らずこれからAIがどんどん強くなっていけば、多くの分野でその道の専門家と競うことの意義が薄くなっていくのかもしれない、とふと考える。果たして本当にそうか。答えはイエスでありノーなのではないか。 陸上競技に例えてみると、超速の犬型ロボットがオリンピックに出場するようなトップアスリートと100mを競うのは意味がないことかもしれないが、進化した人間型のロボットだとしたらどうだろう。設計当初ロボットは人間から走り方を学び、速くなったら今度は人間がロボットから速い走り方を学び。そしてレースに活かしてもっと偉大な記録を目指す。それでいいのではないか。 このコラボについて象徴的な出来事が今年の4月にニコニコ超会議で開催された将棋の対局イベントであった。詳細は割愛するが、斎藤慎太郎六段という若手のホープがAperyというソフトとコラボ(合議制)をして、最強AIであるPonanzaを含む三機の連合軍と対局し、勝利したのだ。しかも最後はどちらかというとAIの手ではなく、人間の脳で勝ち取った勝利だった。私は実は羽生さんならもしやAIにまだ一矢報いることができるのではないかと思っている。彼の終盤の読みは強豪AIとぴったり符号することで有名だからだ。 このように「人間 VS 人工知能」 という構図はもはや成り立たなくなってきている。そもそもAIの目標は人間を倒すことではないし、人間の目標ももちろん人工知能を倒すことではないのだ。人類と人工知能の共存はもう少し先の未来にある。●著者:立入勝義 氏世界銀行元ソーシャルメディア広報担当官。元ウォルトディズニーリゾートデジタルプロデューサー。北米で、ライセンシング交渉、M&A、法務交渉(対米国起業)、ローカライゼーションなど起業支援コンサルティングを行う。日本語での著作は4冊、米キンドルストアでは100冊以上を出版。
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