会場には18台のロボットが集まったが、香川高等専門学校(三崎研究室)は「送電線における電力線活線点検ロボットの開発」と題したプレゼンテーションをブースで展開した。
日本の総電線は520万kmもあるが、電力の安定的な供給のためには当然定期的な点検が必要になる。四国電力 電力輸送本部の林氏は「一番イヤなケースは落雷などで断面積が減ったりする場合。局所的に熱をもつなど、切れやすくなる。また錆びもできる。電線は雨ざらしでありながら、毎日観に行ける場所ではない」と話す。現在、この点検に使用されている電線点検ロボットは電源部を含めて約30kgと非常に重い。そのため、本体と映像部の2つにわけて鉄塔に登っている。電線の近くまでいおくと、スタッフは命綱をつめてロボットの装着を行う。電線の上でロボットは自走し、反対側に到着すると回収される。
香川高等専門学校では、まずこのロボットを約1/20に軽量化。これにより、ドローン(マルチコプター)を使ってロボットを電線に装着する可能性が広がった。しかし、ドローンの操作は意外と難しいため、ドローンに絶縁性のある棒を取り付けて移動領域を制限した。ドローンはホバリングだけを行っている状態で、棒を押したり引いたりすることによって簡単に制御できる。棒をとりつけることで安全性も高めているのだ。なお、詳しい運用方法はわからないが、ドローンはある高さまでのロボットの運搬と送電線へのとりつけの両方を担うのではないかと思われる。
ドローン(マルチコプター)+制御棒のアイデアは、トンネルや橋、コンサート会場など安全にドローンを使いたいというケースに応用できるのではないかと考えているという。
林氏によるとプロジェクトは昨年から走り出したところ。「今回はまだ2kgの点検ロボットしか持ち上げられないが、点検ロボットに合わせたホバリング装置を開発していきたい」と話している。