こうした特徴から、一般住宅への設置はもちろん、不動産業界で課題となっていた内見物件の合鍵管理の合理化や、レンタルルーム&スペースの施錠・解錠管理、事業所の鍵管理などの用途で注目され、実際、フォトシンスでは、2014年3月に不動産・住宅情報サイト「HOME'S」(ホームズ)を運営するネクストと共同で内見物件での「Akerun」の試験運用など、さまざまな分野で実証実験を行っている。 そして2014年9月には、スマートウォッチと連携する機能が追加され、同年11月に発売された「Akerun Touch」を設置することで、スマートフォンをかざすだけで操作せずに解錠できる機能が追加された。●合鍵の共有もカンタン&安全 多くのスマートロックに共通する特徴ではあるが、「Akerun」の特徴としても挙げられるのが、合鍵の共有機能。「Akerun」では、管理権限を持つ人間(オーナー)が、任意の人に鍵権限を与えることができる。 これによる防犯面のメリットとしては、物理的なキーと違って、無断でキーを複製されたり、紛失される心配がなく、時間指定の権限付与ができるため相手に合わせた利用の制限が可能だ。さらにオーナーは、スマートフォンアプリによる開閉の利用履歴を見ることもできるので、いつ誰が開け閉めしたのかを把握することができる。●もし鍵権限のある端末を落としたら? しかし、一点だけ注意する必要があるのが、鍵権限を持つスマホ端末の紛失に関して。こちらもスマートロック全体に言えることだが、従来の物理キーなら、キー単体ではどこの誰が使っているものなのかを判別することは難しいが、スマートロックでは、さまざまな個人情報がつまったスマホとセットで運用するため誰の鍵なのかを特定されてしまう可能性がある。 そのためユーザーは、スマホ端末のセキュリティに対しても無自覚ではいられない。最低でもスマホ端末にロックをかけたり、紛失&盗難時に備えて遠隔ロックやデータ消去が行えるサービスの加入を検討する必要があるだろう。 ちなみに「Akerun」では、それらの問題の解決策として鍵権限を持つスマホ端末を紛失した場合には、Web上の管理画面からアカウントを一時停止することができる。また、サポートが24時間電話対応している。●さらなる進化が予想されるスマートロック 今回は主に「Akerun」にフォーカスして紹介してきたが、2016年に入ってからもスマートロック市場の動きは活発で、2月1日に三菱地所が「NinjaLock」を提供しているライナフへの出資及び、同製品を使った無人内覧システムの試験導入を発表したり、Qrioが「Qrio Smart Lock」の追加パーツの発売やAPI/SDKの提供開始を発表。 そして今回取材したフォトシンスも専用アプリのダウンロード不要で、スマホ、タブレット、スマートウォッチ、PC、フィーチャーフォンで鍵の開け閉めができる「Akerunオンライン鍵管理システム」という新サービスを発表している。 先行する3社に加えて、カギメーカー各社もスマートフォンを使って解錠する電子錠を展示会などに参考出展しており、2016年のスマートロック市場は昨年以上にさまざまな新サービスの展開が予想される。