NTTが研究を続けている技術に、振動を利用して人にひっぱる力を感じさせ、その方向へ誘導するというものがある。「ぶるなび」と呼ばれる技術だが、今年の「ぶるなび3」では、誘導方向の表現がさらに進化したという。 「バーチャル犬の散歩」というデモでは、振動するデバイスを持つと画面上で動く犬のリードに引かれている感覚が再現される。引かれる感覚は最初は若干戸惑うものの確かに本体が移動するような慣性が感じられる。最初は画面の犬の動きを見てしまうが、慣れると目をつぶっても引っ張られる方向がわかる。 「手を引かれて歩行ナビ」のデモは、振動デバイスを持った人を説明スタッフが画面上の方向ボタンでその人の歩く方向を制御してみせるというものだ。被験者の動きを見ていると、デバイスを持った手がその方向に向いて移動するため、確かに誰かに手を引かれているように見える。 その他、魚釣りのデモでは、魚のアタリや吊り上げるときの手応え(下に引かれる力)が感じられる。 振動するデバイスは携帯電話などに入っている偏心モーター(マナーモードのバイブレーター)だ。NTTでは、この技術は携帯電話やスマートフォンを使って人を施設内で誘導したり障碍者の支援を行うために開発を続けている。現状では、電池の問題やモーターの出力が足りないなど課題はあるが、原理と基本的な技術はほぼ確立されてきたようだ。