近年、犬と暮らせる住まいが増え、夢のドッグライフをスタートする方が増えました。新しい家族が決まり、仔犬がお家に来たらこれから楽しい生活が待っている。だれもがそう思って仔犬を迎え入れます。しかし、現実はそう甘くありません。いざ仔犬がお家に来ると…・排泄をあちこちでしてしまいトイレで出来ない…・サークルから出すとなんでもかんでも咬んでしまう…・サークル内から吠える…などなど、 初めて犬を飼う方の多くが感じるのではと思います。ですが、実際これらは犬達にとってはいたって普通の行動なのです。犬達にとって普通の行動でも、人からすると困ってしまう行動なので、ここで人と犬とが仲良く暮らす為のルールを教えるトレーニングが必要になってきます。■トレーニングを始める時期は? いつからトレーニングを始めるのがいいのか?それは、「家に来た日」からスタートです。でも、オスワリやマテなどのトレーニングではありません。まずは人と暮らすために必要なルールを教えてあげます。初めての環境は、まだ犬達がルールを知らない状態です。これから行動していく事に対して自分にとって良い事なのか、悪い事なのか、を体験しながら覚えていきます。実は、お家に来てからの1週間がその後のトレーニングにとても影響します。■犬人生で最大の試練!? 仔犬のお預かりトレーニングをしていたのですが、家に来てからの1週間が犬のトレーニングの中で一番大変で、この1週間はものすごく疲れます。 まだ何のルールも知らない仔犬は感情のままに行動します。寂しくて吠える、楽しくて咬む、したいと思った場所で排泄する…、そして人の生活サイクルを全く気にせず行動します。でも、そんな仔犬に1つ1つ根気よくルールを教えていくと、1週間後には大まかなルールを覚え、人のサイクルに合わせた生活が出来るようになっていきます。たった1週間ですし、教え方は全然難しくありません。じゃあなぜ上手くいかない方が多いのか?それは、仔犬が来て嬉しくて、可愛くて、かまいたくて、そんな気持ちを人の方が抑えられないからです。実は、犬の試練ではなく人の試練なのです!■人と暮らすルールは?家に仔犬がきたら教える事は、「トイレ」「甘咬み」「無駄吠え」「社会化」の4つです。出来るだけ早いうちに教えないと、後々教えにくいのがトイレです。トイレで排泄できたことにどれだけ褒められたか!失敗をどれだけさせないようにサポート出来たか!が重要です。犬にとっては目の前のものすべてがオモチャなので、咬むのは自然の事。でも、それでは困るので、愛犬に咬んで良い物、悪い物を教えてあげます。咬んで良い物は?家族でしっかりルールを決めることが必要です。無駄吠えは近所迷惑にもなってしまいます。仔犬のうちはかまってほしい要求吠えがメインですが、可愛さにつられてキュンキュンに反応してしまうと…その後、吠えに悩まされる可能性が倍増!!吠えに反応しない人のガマンが重要です。犬の警戒心が出てくるのは、思春期を迎えるだいたい7、8ヵ月頃。小さい頃に色々な経験をさせておかないと、気づいたら吠えが目立ってきた!なんて事にも…。人に優しく接してもらう、色々な音を聞く、色々な物を見るなどの経験が何事にも動じずおおらかに育てるポイントです。※犬との暮らしに何を求めるのかによってしつけ方法、必要性は変わって来ますので、全ての犬にあてはまりません。■幸せなワンコライフの為に… 犬の寿命は昔にくらべて長くなっています。犬種によっても違いますが、大きな病気もなく過ごしていけば十数年は一緒に暮らす事が出来ます。十数年を楽しく暮らすのか、問題行動に悩み続けて暮らすのかは、可愛くてついつい…を我慢し、パピートレーニングを頑張ったかどうかにかかっています。大変な事をさっさと済ませると、愛犬との楽しい時間がどんどん増え、愛犬とのお出かけやスポーツ、素敵なドッグライフが待っています。●筆者プロフィール稲垣亜衣■1999年、犬のテーマパーク「わんわん動物園」に入社しステージチームとして、「ドッグレース」、「アジリティドッグ」、「ディスクドッグ」などのパフォーマンス犬の育成やステージパフォーマンスを担当。2001年オープンの「わんにゃんワールド多摩」では、ステージチーム長、園長を務める。2004年には、テレビチャンピオン「第2回ダメ犬しつけ王選手権」に出場し優勝!!2009年からはペット業界大手「ペットプラス」「イオンペット」にて、飼い主様向けのしつけ教室を担当。しつけ部門のマネジャーを兼任しながら、4年間に渡り、1000件以上のトレーニングを行う。2013年独立、「HAPPINESSDOG」を立ち上げる。愛玩動物飼養管理士1級、ペット栄養管理士。