『新機動戦記ガンダムW』は、1995年のテレビシリーズ放送開始以来、今年で19年目を迎える。長い年月を、多くのファンに愛され続けている作品だ。2014年4月25日にはOVA『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』のBlu-ray Boxも発売された。本作の物語は、宇宙コロニーが地球統一連合に対し、MSガンダムの降下作戦「オペレーション・メテオ」を決行するところから始まる。ストーリーの中心となるのはガンダムパイロットである少年たち、ヒイロ・ユイ、デュオ・マックスウェル、トロワ・バートン、カトル・ラバーバ・ウィナー、張五飛である。個性豊かなキャラクターたち、華麗なメカニック、迫力のあるアクションシーンが多くの少年、少女の心を掴んだ。今回、『Endless Waltz』がBlu-ray Boxになった機会に合わせて、あらためてヒイロ・ユイ役の緑川光さん、デュオ・マックスウェル役の関俊彦さんのおふたかたに作品の思い出や、キャラクターについて伺った。『新機動戦記ガンダムW』の魅力とは何だったのか?緑川光さん、関俊彦さんのお話から掘り下げる。[インタビュー聞き手:小林治、構成:アニメ!アニメ!編集部]■ 『ガンダムW』、変わらぬ人気とその秘密―4月25日に「新機動戦記ガンダムW Endless Waltz Blu-ray Box」が発売されました。作品がスタートして19年ぐらい経ちますが、これは『ガンダムW』の人気がいまでも衰えていないことでもあります。それはなぜか?おふたりはどう感じられているか伺いしたいと思います。―緑川光さん(以下緑川)ガンダムという人気シリーズなのも当然あると思います。それと女性のかたに「ガンダムって面白いかも」と注目していただいた最初の作品かなと思います。いまでも女性の間で、ガンダムシリーズの人気が続いていますよね。そうした節目になった作品で、それだけインパクトがあったのかなと。―関俊彦さん(以下関) ガンダムシリーズには、もともと女性ファンがいたのでないかと思っていました。それが『ガンダムW』から表に現れた感じがします。5人でチームみたいな感じも『ガンダムW』が最初ですよね。―緑川 『Gガンダム』もチームに近いですが、バーンと出たのは考えてみると『ガンダムW』がそうですよね。―関 ポイントはそこにあると思います。カッコいい男の子がいっぱい出てくれば注目が大きくなる。しかも、その少年たちが実はとんでもない力を持った傭兵、そのギャップが大きな魅力だったんです。―『ガンダムW』の5人のメインキャラクター、ヒイロ、デュオ、トロワ、カトル、張五飛は最初はライバルだったり、敵対したりしましたが、最終的に5人がひとつのチームになります。―関 結局、大人の男ではなく“少年”なんですよ。少年が戦いの場において、大人顔負けの潔さを、ひとりずつしっかり持っている。それと見た目の萌え~な感じ、その振り幅があってすごく魅力のある作品になったんじゃないかな。5人のキャラクターに少しずつ個性が違っているのも魅力的ですね。視聴者に、お好きなキャラクターを選んでくださいということですよね、たぶん。■ ヒイロの魅力?!搭乗機の種類がとても多かった―ご自分のキャラクターで、ほかの4人よりも「ここが良かった」といったお薦めポイントはありますか。―関 デュオは喋らされるキャラですから。エキスパートな人たちの中のムードメーカー的に位置づけられて、お得な役だったと思いますね。―当時、ファン投票をおこなうと、デュオとヒイロが競っていた印象があります。―関 デュオは場を和ませてくれたりホッとさせてくれたりするので。だから、お笑いタレントみたいに, コイツといると楽しいなと。それをデュオがひとりで引き受けていたところが良かったんじゃないですか。―主役ヒイロは5人のなかでも突出した存在ですが、ヒイロのおすすめポイントはありますか?―緑川 ロボットものの主役らしいところです。それとロボットにたくさん乗ります!―関モビルスーツでしょ!(笑)。―緑川 でも、全てをモビルスーツと言っていいのか……。さっき調べていいたら、トータルで10種類か11種類くらいは乗っているんですよ。―関 そんなに乗ってたの!?―緑川 ウイングガンダム、ヘビーアームズ、リーオー、メリクリウス、エピオン、ウイングゼロ、『Endless Waltz』のウイングゼロ。リーオーの宇宙用にも乗っている。キャンサー、おまけ的なものでもスノーホワイトにも乗っています。『Endless Waltz』版のゼロの前のウイングガンダムのアーリータイプも入れると11機体となります。―関 言ってくれればデスサイズ乗せてあげたのに(笑)。*デスサイズはデュオの愛機―主人公は主人公機だけに乗るイメージがあります。それだけでなく、いろいろな機体に乗るんですね。―緑川 それが嬉しかったですね。かりにデュオに人気が負けていようと。たくさん乗れていれば、満足かな。(笑)―主役はいろんなことが出来るプロフェッショナルという設定があったから、様々な機体にも乗れるのかもしれませんね。―緑川 それもあります。ヒイロは骨折を治したり、学校のデータを改ざんしたりとか、割りと何でもできる。アフレコのときもその話題が出たんです。「このままいったらみんな完璧すぎて、普通に終わっちゃうじゃない」という話もあったんです。実際はそのあとに挫折があって、ドラマが動きはじめました。■ 最初からプロフェッショナルなヒイロたち―アニメでは未熟なキャラクターが成長していくドラマをよく観ます。それが『ガンダムW』だと第1話からそれぞれがスペシャリストなのですね。―関 最初から完璧ではじまっています。未熟ではないですよね。―それは演じるうえで、難しかったですか?―緑川 不思議な立ち位置ではありましたが、そうではないですね。認識するのは時間がかかったかもしれません。でも、台詞が多かったわけではないので、前半は難しい感じはしなかったです。―よくいろんな方にお話を聞くと、台詞は量が少ないほうが表現しづらいともあります。―緑川それもひとつですが、音響監督の浦上(靖夫)さんからダメ出しが来なかったら、「よかったんだ」という感じです。浦上さんは、少しでも違う芝居をしようものなら、すぐダメ出しが来ますから。(笑)■ 緑川さんと関さんの声は似ている?!―『ガンダムW』では後からキャラクターの過去が見えてきたりすることが多いのですが、事前にはキャラクターの素性をうかがったりされましたか?―関 あんまり教えてもらえないものですね。―緑川 決まっていないことがあったからかもしれないです。―当初はテレビシリーズですから、長い話数のなかでお互いに作っていくということもあったのでしょうか?―関 思い出深いのは、第1話アフレコをしたときに、光君の声と僕の声が似ていると言われてびっくりしたことですね。「これだけ違うキャラクターをやっているのに似ているとはなんてことだ!」と思って、トーンも調整をしたりしました。―緑川 うん、これは僕も初めて言われました。―関 自分たちでは全然そんな気がしなかったから。―緑川 その前に『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』でも一緒にやっていたけれど、「関さんに似ていますね」ということは1回もなかった。―関 たぶん、それぞれのシチュエーションで、トーンが似て聞こえた部分がどこかしらのカットであったんだろうね。『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』Blu-ray Box4月25日発売