2014年1月より放映中のアニメ「探検ドリランド ― 1000年の真宝(まほう) ― 」ベリンダ篇が新たな展開を迎える。クライマックスへ進む「探検ドリランド」の世界だが、その行く末を左右する存在が混沌の子・ベリンダだ。赤ちゃんの姿で登場し急成長、今は3歳の幼児となり駆け回る元気なこの女の子を演じるのが声優のゆかなさん。まだ言葉を話せない赤ちゃんという役をどう演じているのか、ゆかなさんから見たベリンダはどんな女の子なのか、そして「探検ドリランド」の魅力を伺った。[インタビュー取材・構成:川俣綾加]■ 赤ちゃんでも、思うことは大人と同じ― AAベリンダ役はどのように決まりましたか?― ゆかなさん(以下、ゆかな)オーディションに呼んで頂いたのがきっかけです。用意されたセリフとキャラクターや世界観について書かれた2枚程度の説明書きと、現場での多少の質疑をもとに、自分なりの解釈を加えて挑みました。冒頭の赤ちゃんベリンダと、ちょうど今くらいの3歳くらいのベリンダの色々な心の動きなど、感情のグラデーションをつけながら何パターンか、という感じです。― AA「自分なりの解釈」はどんな風にされたのでしょうか。― ゆかなみなさん赤ちゃん時代は経験されていると思うんですが、私も経験していまして。(笑)そこを振り返ってみると、赤ちゃんって“出力ツールがない”状態だと思うんです。赤ちゃんが「ばぶー」「だー!」と言っているように聞こえても、頭の中でも「ばぶー」と言っているわけじゃなく「ばぶー」と言いたい訳でもなく、もっと色々なことを考えて、いろいろ言いたい。それは万人共通なんじゃないかな? というのが私の中の前提としてありました。それをどうやって伝えるか、単語や文脈に頼らず、どう表現するかが赤ちゃん役の大事なところかなと思っていまして。― AA「赤ちゃんっぽく」演じるのではなく、その内面に立っているんですね。― ゆかな最初から「だー!」って言おうとすると、すごく薄っぺらくなってしまうので、何が言いたくて結果「だー!」に聞こえるのか、というアプローチです。― AA赤ちゃん役は初めてでしょうか?― ゆかな今回のようにレギュラーで演じるのは初めてです。― AA演じてみて面白かったことや、難しかったことは?― ゆかなスタッフのみなさんがすごく作り込んでくださってるので、演じる上で難しいと感じることは無かったですね。大人と、感じる事自体が違うのではなく、ただ、大人のような社会的な面倒さは抜きにして、もっとプリミティブな感情として受取ってプリミティブに出す! 来たら打ち返す! という感じで。決して機微が無いわけではなく、経験やしがらみが無いというだけです。感情自体は同一線上にあると思っています。ベリンダの性格、という意味で、そこから分岐していきますが、なるべくストレートに心がけています。■ 「探検ドリランド」声優チームに新しい風を― アニメ!アニメ!(以下、AA)ベリンダの性格づけはどう意識していましたか?― ゆかなさん(以下、ゆかな)細かい設定はもちろんですが、とにかく振り回して欲しい、とのオーダーでしたのでそこを基本に。本人は自分が「混沌の子」だとは知らず、生まれたばかりで、目にする全てものが初めて。「これ何?」「この人だれ?」と素直に反応していくことと。業務的なお話ですが「探検ドリランド」も3期となると現場はチームワークができあがっているはずなので、そこに、ある意味の異物感をもち込むように。チームワークに新しい風を、全身で起こす。それが結果として、ベリンダがハガンたちを振りまわす演技につながるのかもしれないと思っています。― AAそのベリンダは、今は3歳ですが演じ方に違いは?― ゆかな年齢や成長したという違いはありますが、別人ではないので、みんなと過ごす中での積み重ねが今のベリンダという意識で演じています。― AAゆかなさんにとってベリンダはどんな存在でしょうか。― ゆかなベリンダに対して一番思うことは、「ベリンダを邪魔しない私でいたい」ということです。言葉にすると不思議なんですけど……不思議な仕事なもので!(笑)アフレコでは一度テストがあるので「私」は話の流れを知っていますが、画面の中のベリンダはもちろん何も知りません。初めて触れることや起きることに対して画面の中でどれだけのびのび反応できるか、というのがベリンダに対して心がけていることです。― AAゆかなさんとベリンダで似ているところはりますか?― ゆかなう~ん、私はたぶんこういう子じゃなかったので、こんなダイレクトな反応ができる子はうらやましいですね。もしも私がこれほど素直に振る舞える環境にいて、この年頃にこの仲間と旅をしていたらきっと楽しいだろうなと思います。みんな強い絆でつながっていて、何があっても捨てたりしないっていう絶対的な安心感の上で成り立っているのは、すごく、かけがえのないことだなと思います。後編に続く