CEATEC JAPAN 2013のデンソーブースでは大変ユニークな一輪ビークルのプロトタイプが展示されていた。異次元ビークル『「む~ん」moon!』と銘打たれた本ビークルは、可愛らしいお月様のような固定車体の外側に、直径1500mmの大車輪があり、それが回転して進むもの。2年に一度開催される社内の技術コンテスト「デンソー夢卵(ムーラン)」にてグランプリを受賞した作品だという。 すべて自動車部品でつくられており、フルオート重心制御によって、倒れずに映像のように進める。スクーターのようなクレードル機構で、左右のターンも重心を移動させてスムーズに制御できるようだが、実際に乗っていないため操作が難しいかどうかは不明だ(映像では、かなり簡単そうに操作している)。後部にはパタパタと動く羽のようなものが取り付けられているが、これはウィンカーの役目を果たすもの。またフロント部には複数のモニターも付いている。 シートの下にマイコンボード、システムメインリレー、モータドライバー、2つのモータ(動力用とバランス制御用)と、ジャイロセンサー、地磁気センサー、加速度センサーなどが内蔵されている。2つのモータがあるが、1つは駆動用、もう1つは転倒しないように制御性を良くするためのものだという。最初のころは何度も転倒し、ようやくスムーズに動くようになったそうだ。 製作にあたり苦労した点は、ビークル自体が丸くて大きな作品だったため、寸法を管理することが大変だったこと。またセンサー系(ジャイロセンサーや加速度センサー)の信号にノイズが乗ってしまい、それらを除去するのに苦労したという。公道を走らせることはできないが、テーマパークや私有地などの移動などに利用できそうだ。転倒もせずにスムーズに動く「む~ん」moon! 操縦者の運転が上手いのかもしれない。