3月29日に、長編アニメーション映画『パラノーマン ブライス・ホローの謎』が全国公開となる。全米興収5600万ドル超、ストップモーション(コマ撮り)アニメーションとして驚異的な大ヒットになった話題作だ。作品の魅力は数多い。300年前の謎を解き明かすミステリー、少年たちの冒険といったストーリー、人形による個性的なキャラクターなどだ。しかし、一番の話題となっているのは、ストップモーション(コマ撮り)アニメーションの最新技術を導入した驚愕の映像だろう。 [ストップモーション・アニメーションって何?]日本ではコマ撮りアニメーションと呼ばれることもあるストップモーション・アニメーション。よく分からないという人も多いかもしれない。しかし、実は手で描いた絵を動かすセルアニメーション、コンピュータ上で作品を創りだすフルCGアニメーションと同じく、とても身近な存在だ。『ティム・バートンのコープスブライド』や『ウォレスとグルミット』といったヒット作、国内では『どーもくん』といった作品を知っている人も多いだろう。映像の原理はシンプルである。まず、人形を作り、手づくりセットにそれを置く、それを少しずつずらし、カメラにひとコマずつ収めて行く。それを続けてみることで、動作も表情もまるで生きているかのように動き出す。実写でもCGでも実現不可能なテーストが魅力だ。シンプルであると同時にとても手間がかかることでも知られている。『パラノーマン ブライス・ホローの謎』でも、創造を絶する時間と労力がつぎ込まれている。そんな一端は、いくつかの数字でも確認出来る。■ 『パラノーマン ブライス・ホローの謎』 驚きの数字制作されたセットの数: 52撮影で使用したノーマンの人形: 48体ノーマンの髪の毛の数: 275本ノーマンの表情の数: 150万通り制作された小道具の数: 31600個制作された衣装の数: 120着最も使用された1シーンの顔面の数: 545個使用されたカメラの数: 63台制作された顔面の数: 31000個以上(そのうち、ノーマンは8800個)制作された田舎道の長さ: 300フィート(約91メートル)幽霊が現れるシーンの撮影にかかった時間: 2年 などなど [ライカスタジオは、ここがすごい]そんな映画を生み出しのが、ストップモーション・アニメーションの最高峰のスタジオのひとつとされるライカ社だ。ライカ社の技術が、まるでCGアニメーションと思えるシーン、映像が全て手でつくられたという驚きを生み出している。ライカ社は2010年に日本でも公開された『コララインとボタンの魔女』で一躍注目を浴びた。米国アカデミー賞長編アニメーション部門にもノミネートされた本作は、ユーモラスで生き生きとしたキャラクターと表情、肌のツヤや柔らかい感触などのアニメーションには見られないテーストを実現し、絶賛された。なかでも特徴は、滑らかに変わって行く表情だ。パーツを1コマずつ置き換えることで、笑顔、渋面、泣き顔、絶叫など絶妙な表情が生まれる。『コララインとボタンの魔女』で生まれた技術は、『パラノーマン ブライス・ホローの謎』にも受け継がれる。この表情は、まず、手作り彫刻で基本となるモデルを制作、それお高解像度の立体スキャナーでコンピュータ内にデータ化、CG用モデルに変換される。さらに伝統的な2Dアニメーターが表情の参考を手描きで指示、その変化がさらにCGモデルに反映される。最後にコンピュータ情報を3Dプリンターで立体物として出力することで、主人公ノーマンだけで約8800個もの顔面、150万種類の表情を実現する。顔面パーツは映画全体で31000個以上も作成された。■ ここに注目ライカ社の技術 □熟練の技術 (ダイナミックなカメラアングルと動作) □入念ナリサーチから生まれたセット (4000枚以上写真から統一性のある雰囲気が誕生) □技術の進歩と、経験が融合した人形制作 (無数の表情を3Dプリンターで実現) □撮影方法に合わせた衣装制作 などなど最新の技術と熟練の技術が重なり合って生まれた『パラノーマン ブライス・ホローの謎』。しかし、もちろん映画の魅力は、そのストーリー、テーマそのものがあってこそだ。監督のサム・フェルは、「ストップモーション・アニメを作るのに必要なのは愛だ」と語る。まさにこの点でも、『パラノーマン ブライス・ホローの謎』は、世界最高峰に位置するアニメーョン映画と言っていいだろう。アニメ!アニメでは『パラノーマン ブライス・ホローの謎』の独占試写会に20組40名様ご招待の受付中です。締切は3月8日まで、是非、こちらも応募ください。http://animeanime.jp/article/2013/02/25/13111.html映画『パラノーマン ブライス・ホローの謎』3月29日(金)よりTOHOシネマズ みゆき座ほか全国ロードショーhttp://www.paranorman.jp/ [スタッフ]監督: サム・フェル、クリス・バトラー脚本: クリス・バトラー製作: アリアンヌ・サトナー、トラヴィス・ナイト撮影監督: トリスタン・オリヴァープロダクション・デザイナー: ネルソン・ローリー編集: クリストファー・マーリー,ACE音楽: ジョン・ブライオン[ストーリー]ブライス・ホローに住むノーマンは、ホラー映画や悪霊伝説が大好きな11歳の少年。しかも、死んだ人たちと会話することのできる変わった能力をもっていた。そんな誰にも理解されない能力のせいで、すっかり変わり者扱いされてしまっているノーマン。家族関係は悪化し、学校でも毎日イジメを受けていた。ある日、ノーマンは疎遠になっていた叔父さんに再会し、衝撃の事実を打ち明けられる。「300年前に封印された<魔女の魂>が悪霊を呼び覚まし、町を滅ぼす。死者と会話できる者たちが何代にもわたって災厄を食い止め続けてきた。これまで叔父さんがやってきたその役目を、もし誰も受け継かなかったら、町には大きな災厄が訪れ、愛する人たちが傷つくだろう。それを阻止できるのは、ノーマンだけだ!」と。少年がいじめや偏見などの現実を乗り越え、勇気を出して自分だけしかできないことを見つけたとき、町に隠された<秘密>が明らかになる――。(C)2012 LAIKA, Inc. All Rights Reserved.