キティちゃんという世界的に有名なキャラクターがいる。日本発で世界的に有名なキャラクターだ。海外でもキティちゃんの描かれた洋服やリュックを背負った子供をよく見かける。 キティちゃんをメインに据えたテーマパークが東京にある。サンリオピューロランド。キティちゃんをはじめとした多くのサンリオキャラクーが顔を揃えるテーマパークだ。 そんなサンリオピューロランドが、12月の初めに2日間だけ無料開放された。私は行かなければと思った。世界的なキャラクターがいる施設が無料。また私の家からも近い。もう行かない理由がない。しいていえば、誘う相手がいないのでひとりで行かなければならないが理由になりそうだけれど、今の私にはスマホがある。ということで張り切って家を出た。朝6時半に。■多摩の夢の国へと続く行列 サンリオピューロランド、その存在は昔から知っていたけれど、今まで行くことはなかった。ターゲットはファミリー層だし、何より誘う相手がいないため、ひとりではキツいと思っていたのだ。「ひとりディズニーランド」は聞くが、「ひとりピューロランド」はあまり聞いたことがない。 しかし、無料だ。食べ放題では吐くまで食べる派である私には行かない手はないと思うのだ。そんなわけで朝6時半に家を出て電車に揺られた。無料開放日は平日だったので、電車の中にはサラリーマンや教科書を広げた高校生が目立った。季節的に学期末テストなのだろう。浮かれた人は私以外にいないようだった。 そのために油断していた。サンリオピューロランドがある多摩センター駅に着いたら、サンリオピューロランドに向かって長い列ができていた。いきなりサンリオの人気の高さを思い知ることになってしまった。 列にはカップルや家族連れ、女性グループが目立った。私の前はカップルで、後ろが女性2人組。2列に並ばなければいけないのだけれど、私の隣は空いていた。それは前後が2人組で、私はひとりだからだ。仕方がないと、黙ってスマホを見て時間を潰した。■30前の男のテンションがあがる! 8時半前にピューロランドの中に入ることができた。外は寒かったけれど、ピューロランドは全天候型(室内)なので、どこも暖かい。ただし園内はクリスマス仕様でツリーがあったりで、ひとりの私の心はどこか寒かった気がする。 園内は子供が多く、その子供はもれなく元気。女性グループもテンションが高く、キティちゃんの赤いリボンを着けていたりする。その女性たちは美人よりもかわいい系が多い。私の好み的にはとても嬉しいことだ。ただしカップル向け状況でのひとりより、ファミリー向けのひとりの方が説明できないキツさがある。なのでチャラだ。 大きな木をメインに据えた広場を歩くと、「かわいい」や「楽しい」という気持ちが湧いてくるから困る。森の奥のメルヘンの世界に迷い込んでいる気がしてくるのだ。30前の男が何を言っているんだ! と自分でも思うけれど、実際にそうなのだから仕方がない。テンションが上がって、サンリオキャラクターとツーショット写真を撮り、それを喜び勇んでTwitterにアップした。スマホは便利だ。リアルタイムで綺麗な写真付きでその喜びを伝えることができるのだ。フォロワーは減ったけれど。 ピューロランドは乗り物がメインではなく、園内にいくつもある劇場で、ショーを見るのが楽しみ方だ。そのためひとりでも楽しめなくはない。ショーではキティちゃんがヒーローになって、悪者を倒したりと、かわいいだけではないキティちゃんを知ることができる。知っている人(今回は猫だけれど)の別の顔というのは意外にも楽しい。フォロワーが減ったことは忘れようではないか。■ここが私の居場所だ キティちゃんの家というものがあった。そのままだけれど、キティちゃんの住んでいる家である。ピンクを基調にした乙女チックな部屋で、今オレ女性の部屋にいるんだよな、と思うとより楽しかった。ひとりで来てよかったと思う。カップルだとこのドキドキは味わうことはないだろう。 この部屋では最後にキティちゃんと記念撮影をすることができる。女性グループや子供はテンションがグンと上がる場面だ。抱きついたり、別れ際に手を振ったりと心からこの空間を楽しんでいるようだった。みなひとりではないからできるのだろうか。 私も係の方にカメラを渡し、キティちゃんとツーショット写真を撮る。キティちゃんに「お願いします」と深く頭を下げるという対キャラクターではない対応をしてしまった。慣れないことに緊張しているのだ。しかしキティちゃんは思いのほか強く私に腕を絡ませ、引き寄せてくれた。彼女は強引だ。でも、強引な女性は嫌いではない。 部屋を出る時は係の方が「いってらっしゃい」と言って送り出してくれた。光が射した気がした。私はひとりではないのだ。ここが私の居場所なのだ。「いってらっしゃい」から察するに私とキティちゃんは一緒に住んでいるのだ。そう思った瞬間、キティちゃんに手を振っていた。とても嬉しかった瞬間だ。 その後もショーをみたり、パレードを見たりした。トイレも凝っていて、宇宙船の中のようになっていたりと、全てにこだわりがあり楽しかった。問題は、この日は平日だったため仕事の電話がかかってきて、「すみません、12時からパレードがありまして」と人生で初の理由で電話をかけ直すことになったくらいだ。 昼過ぎからは高校生カップルが増えた。無料なのでデートにくるのだろう。でも、平日の昼間だぞ! と思っていたら、朝のことを思い出した。学期末テストで午前中で学校が終わるのだ。こっちはひとりだぞ! と一瞬思ったが、それすらいいかと思えるような穏やかな心で家路に着いた。私の心にもメルヘンが住み着いたのかもしれない。フォロワーは減ったけど。ひとりサンリオピューロランドオススメ:★★★★★ハードル:★★★★★★メルヘン:★★★★★
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