成層圏から人がジャンプし降下する「レッドブル・ストラトス」プロジェクトで14日、オーストリア出身のスカイダイバー、フェリックス・バウムガートナーは、落下中に時速1342.8キロメートル(マッハ1.24)に達し、人の自由落下で初めて音速を超えた。 バウムガートナーは米ニューメキシコ、ロズウェルで、ヘリウム気球によって3万9045メートル(12万8100フィート)に上昇、大空へ飛び出した。バウムガートナーは自由落下で音速を超えた最初の人間となったほか、自由落下高度と有人気球高度の、2つの世界記録も達成した。最長自由落下時間は、こんどのプロジェクトの顧問でもあるジョー・キッティンガーが記録を維持している。 バウムガートナーはほぼ真空の成層圏で気球のカプセルから飛び降り、大気によって減速される前に最高速度の時速1342.8キロメートルに到達した。そして4分20秒間の自由落下の後、パラシュートでニューメキシコの砂漠に着地した。 「信じられないアップダウンだったね。想像していたより、ずっとハードだった」とバウムガートナーは1日を総括する。 「まず気球の上昇はうまくいった。しかし、すぐに私のバイザーヒーターのパワー供給に問題が見つかった。カプセルからの飛び出しは完璧だったが、徐々に体がスピンを始めた。何回かのスピンは想定内だったけれど、そのときは加速しているときで、非常にまずいタイミングだった。失神するかもしれないと思ったよ。体勢の制御に忙しかったので、衝撃波の発生には気づかなかった。本当に音速を突破したか、検証を待たねばならない」 レッドブル・ストラトスは訓練と準備に5年を費やし、本番実施も風の無い晴天を選んで2回延期されていた。記録を達成した日は、65年前にチャック・イェーガーがロケット推進飛行機に乗って、人類で初めて音速以上で飛んだのと同じ日だった。
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