慶應義塾大学(理工学部・桂 誠一郎 准教授)は27日、書道の達人の動作情報から細やかな力加減を抽出・保存し、ロボットにより忠実に再現する「モーションコピーシステム」の開発に世界で初めて成功したことを発表した。 「モーションコピーシステム」は、どのような文字でも動作情報を記録し、再現が可能なシステム。モータ・アクチュエータを利用することで、双方向性を持つ触覚・力覚情報を抽出・再現することを可能にした。動作を保存するための「モーション保存システム」と再現するための「モーション再現システム」の2つのプロセスによって構成されている。 今回、書道家の佐渡壽峰氏の協力の下、「モーションコピーシステム」による書道動作の保存・再現の検証を行い、書かれた文字を高い精度で再現可能であることを実証した。書道においては、とくに力加減を他者に伝えることが困難だったために、熟練技能の習得には長時間の修業が必要とされていた。 「モーションコピーシステム」のスキルトレーニングへの応用により、これまで「勘と経験」に頼っていた熟練技能の伝承を効率良く達成できると期待されるとのこと。また将来的には、インターネット等を利用したスキルのトレーニングなどに応用することも可能だという。