第69回ベネチア国際映画祭コンペティション部門での、日本からは唯一の正式上映作品となる、北野武監督『アウトレイジ ビヨンド』の記者会見が3日に行なわれ、北野監督が登壇した。なお映画祭の授賞式は現地時間9月8日となる。Q. 警察・ヤクザ、この映画が描いたもの。北野武監督:イタリアンマフィアが居るということは聞いている。日本のヤクザとの違いは看板がかけられているかどうかで、イタリアも日本もほとんど同じだと思う。警察・ヤクザの関係は世界共通ではないか。日本でも警察の不祥事が多く何をやっているんだと思う。映画は極力シンプルに描いたけれども、現実とそんなに変わらないと思う。Q. エンターテイメント性について。北野:暴力描写を褒めてくれるマニアックな人々がいるのは嬉しいことだけれども、今回の映画はエンターテイメントだと割りきって、自分なりのエンターテイメント性を追求した。そうすると、自分にとっては、家庭、女、女房、子供とかは排除する結果になり、馬鹿な男の話になった。かなり割り切った作り方をしたが、エンターテイメト性を追求するとこんな感じになる。その方が楽しんでもらえるかなと思った。また、『アウトレイジ』『アウトレイジ ビヨンド』に関しては、自分が撮りたい映画というよりも、観客のことを考えて作った。けれども、いつでもお客さんの入らない映画を作る準備もしているよ(笑/会場爆笑)。Q. 震災で一年撮影が延期されたが。北野:震災で確かに映画の撮影は1年伸びた。震災後の1年間は、逆に自分は怒りを感じている部分があった。世の中、絆、愛、支えとか、表面的なものばっかりでイライラした。こういうときこそヤクザ映画を撮ってやろうとやる気が起きた。