HPは、上海で開催されているGlobal Influencer Summitのキーノートスピーチはコンシューマ製品から教育事業に至るまで話題は多岐に渡った。中でも特に力を入れていたのは、中小企業の顧客のニーズをいかに取り込み、それをどのように製品づくりに活かしていくかという点だった。■HPの強みを活かすためにPC部門とプリンター部門を統合 HPでは、これまで別々のセクションだったプリンター部門とパーソナルシステム部門を統合し、「パーソナル・システムズ・グループ(PSG)」の立ち上げることを3月に発表した。HPのPPSシニアバイスプレジデントのジェームス・モートン(James Mouton)氏は、「これらふたつの部門を統合により、両者が所有しているリソースを使って、ワールドクラスのマーケットを主導していく」と展望を述べる。 コンシューマー向けとスモールビジネス向けという顧客が似通っている両部門で、PCとプリンタ双方を手がけるHPの強みをより発揮していくための事業戦略というわけだ。■「ITのコンシューマ化」への対応 ここで強調されるのは「ITのコンシューマ化」という指摘だ。スマートフォンやタブレット、そしてUltrabookのように、業務でもプライベートでも1つのデバイスを共用することが当たり前になり、従来までは業務用途で使われていた製品に対しても信頼性やセキュリティだけでなく、デザインや素材・質感も重視されるようになってきており、「いかに顧客に対して新しいユーザ体験を提供して満足度を上げるかが鍵だ」(モートン氏)という。 HP シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのジョン・ソロモン(John Solomon)氏は、「経済は中小企業から育っていくもの。特に中小企業の担当者の声に耳を傾けると、初期コストだけでなくランニングコストを下げつつも生産性・効率性を高めたいという要求が強いことが分かった」と述べる。■「顧客がほしがるものは常に変化している」 こうした傾向は大企業でも同様で、部門長や役員だけでなく、入社から間もない新人もIT部門に影響を与えるようになってきたという。「顧客がほしがるものは常に変化している。いち早く汲み取って集中的に商品を投下していく」(ソロモン氏)。 今回発表されたビジネス向け製品群を見てみると、ビジネス向けのUltrabookである「HP EliteBook Folio 9470m」などは、Ultrabookの要件を満たしながらVGAなどレガシーな端子類も残したり、交換可能なバッテリーを搭載。また、4月に発表されたワークステーション「Z1」ではディスプレイ一体型ながら工具不要でHDDなどにアクセスできる機構を採用するなどメンテナンス製を高めた。 こうした例は、キーノートやブレイクアウトトラック(テーマ別カンファレンス)でも映像制作やカーカスタマイズ(フィルム施工など)でHP機材を活用しているエンドユーザーの声を交えて紹介されていた。