auから3月に発売された「Xperia acro HD IS12S」は、ソニーエリクソンの端末らしく、高精細なディスプレイと、Qualcommの第3世代CPU MSM8660を搭載した高性能が特徴のスマートフォンだ。 MSM8660は、クロック周波数が1.5GHzのデュアルコア構成のプロセッサであり、マルチタスク、グラフィック処理、動画再生などでのパフォーマンスアップが期待できる。ハイビジョン対応のディスプレイとモバイルブラビアエンジン搭載とのことで、どれくらい高品質な画像がスムースに再生されるか気になるところだ。 この「IS12S」について、動画再生、音楽再生などAV機能を中心に全体的な使い勝手をレビューしてみたい。■ハイビジョン動画もストレスフリーの品質 「IS12S」には、4.3型TFT液晶のタッチパネルが搭載されている。解像度は1,280×720ピクセルで、ハイビジョン対応の高精細ディスプレイのため、YouTubeなどのプロモーションビデオを視聴していても、ざらつき感もなく画質でストレスがたまるようなことはない。ブラビアエンジンの効果か、再生(描画)も非常にスムースである。 ただし、3Gで接続しているときは、フレーム数が間引かれるのか、Wi-Fi接続時よりちょっと画質が落ちる。Wi-Fi接続は、自宅の無線ブロードバンドルータ(インターネットへのアクセスラインは1GbpsのFTTH)とWiMAXルータ(Aterm WM3500R)で試している。「IS12S」でのYouTube動画の視聴においては、ブロードバンドルータとWiMAXルータの違いは認識できなかったが、これは、Wi-Fi接続の部分が帯域のネックとなっているため、アクセスラインのメディアはあまり影響していないからだと思われる。■音へのこだわりはソニーらしさ 音楽再生の品質については、やはりソニーブランドというべきだろう。iPodなどと比較してウォークマンは音がよいと評されるが、これは、Xperiaにおいてもあてはまる。iPodとXperiaについて同じ楽曲の音源データ(MP3)を同じイコライザーの設定(ロック)にして、同じイヤフォンで聴き比べてみた。聞き比べの専門家ではないが、音の奥行きや臨場感ではXperiaの方に軍配をあげたい。 スマートフォンに保存する音楽データも、音がよければ有料ダウンロードでちゃんとした音源で揃えたくなるという人も少なくないだろう。高画質なディスプレイとともに、音質もよければメディアプレーヤーとしての実用性と付加価値が高まる。よく、携帯やスマホは電話とメールができれば十分という意見を耳にするが、それは並みの性能しか出せないならば、という条件がつくと筆者は考える。レビューした「Xperia acro HD」レベルの品質であれば、AV機能の有無は大きいと思う。 なお、細かい点だが、イヤフォンジャックが専用のコネクタではなく標準ミニプラグを直接差し込めるのもうれしい。メディアプレーヤーとしての基本設計をないがしろにしていないことの現れだろう。 ただ、難点をいえば再生フォーマットにWMVやWMAが対応していない。PCではポピュラーなフォーマットなだけに、ベンダーごとの事情やポリシーを差し引いても惜しいといわざるをえない。■カメラ・ムービーは液晶テレビでの再生にも耐える 「IS12S」に搭載されているカメラは、1210万画素のメインカメラと130万画素のサブカメラの2つである。共にCMOS型の撮像素子を採用している。撮影モードは静止画、動画、静止画のパノラマ撮影(3Dスイングパノラマ/スイングマルチアングル)に対応している。ディスプレイ面にサブカメラが配置されているので、テレビ電話だけでなくさまざまなアプリやサービスにも応用が広がるだろう。 メインカメラは、画素数に関しては問題ないといっていいだろう。静止画、動画ともに撮影した画像の品質は悪くない。ハイビジョン対応を謳うだけあって、HDMIケーブルで大型液晶テレビに接続しても画質が残念になることはなかった。CPUパワーに余裕があるからだろうか、撮影動画や配信動画について再生が一瞬止まったり、ひっかかったりすることもなかった。 静止画、動画撮影には16倍までの無段階ズーム機能も付いているのだが、デジタルズームなので倍率を上げると、画質は落ちてしまう。平均的な携帯電話やスマートフォンのカメラ機能を考えれば、それでも十分といわなければならないが、個人的にはあまり使わない機能のひとつといえる。 撮像素子やディスプレイの性能に問題はないが、カメラのレンズについてはやはりスマートフォンの限界というべき口径の小ささを指摘しておきたい。オートストロボの機能は便利であり、他の製品に比べて劣るというわけではないが、やはり撮影画像が暗くなる。晴天の屋外であれば気になることはないが、室内や夕方などは露光不足によって色みが沈みがちになる。赤系の発色に不満が残るというのは、スマートフォンのレビューとしては厳しいだろうか。 「IS12S」のカメラには、クイック起動という機能がある。スタンバイモードで画面ロックがかかっている状態でも、本体のシャッターボタンを長押しすると、カメラがそのまま起動されすぐに撮影できるというものだ。クイック起動は、シャッターボタン長押しによって、カメラを起動するだけか、起動したら自動的に撮影までするかを設定できる。なお、起動+撮影の設定にしておくと、秒単位のシャッターチャンスをとらえることが可能だが、最初の1枚が無駄になることも多い。■UIの操作性はもはや好みの問題レベル 最後にタッチパネルの操作感やUIについても触れておこう。正直なところ、使い始めはタップする位置が微妙にずれたり、タップそのものがうまく認識されないこともあった。指を離すときに、画面と指の接触面が動いてしまうとタップと認識されないことがある。かといって、しっかり押さえすぎると長押しとなってしまい、思ったように操作できなかった。 しかし、半日も設定や操作をしていると自然に操作感覚が身についてくる。反応の鈍さそのものはないし、画面の振動によるフィードバックもあるので、慣れてしまえば特別使いにくいということはなかった。若干気になったのは、画面の辺付近のセンシングに難ありといったところか。アプリによっては端のほうをタッチする必要があるので、反応がにぶいと(他の操作がスムースなので)気になる。 「IS12S」では、電話、キャリアメール、メディアプレーヤーやよく使う機能・アプリなどを配置した「ホーム画面」とPCのデスクトップ画面のような役割を持つ「アプリケーション画面」の2つの基本画面が用意されている。この構成は好みの分かれるところだが、PCでの操作に慣れた筆者は、ホーム画面は、携帯電話機能もスマートフォン機能もデスクトップ上に並んでいるイメージのほうが使いやすいと感じた。 文字入力画面は、携帯電話式のキーパッド、QWERTY配列のキーパッド、手書き入力などをサポートしており、好みの入力方法が選べるようになっている。手書き入力は、操作に慣れるまでは若干戸惑うかもしれないが、誤認識もほとんどなく、変換スピードも問題なく、入力に追い付かないということもない。ただ、かな文字、数字、アルファベットのモード切り替えが必要なのは改善できないものかと思った。 漢字まで認識するなら複数モードもやむを得ないかと思うが、英・数・かな文字ならば、モード切り替えなしで手書き入力できてほしかった。手書きでも「い」「ち」などと入力すれば候補に「1」や「一」も表示されるのだが、せっかく手書きで入力できるなら、アルファベットや数字まじりの文章をモードレスで入力したいと思ったのは筆者だけだろうか。PCよりも携帯電話やスマートフォンを先にいじったという世代には、この入力が自然なのだろう。 UIの操作性や画面設計などは、タッチパネルの精度やセンシングのアルゴリズムなどが進化しているためか、数年前のAndroid端末の比ではない。CPUのパワーアップもそれに貢献しているだろう。このレベルになると、スライドがうまくいかない、タップでチャタリングのようになる、といった基本的な問題がほとんどクリアされているので、UIについては完全に好みや慣れの問題となっている。
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