2009年の売電制度スタート以来、住宅用太陽光発電システムの市場は大きく拡大している。先頃、矢野経済研究所が発表したデータによると、2010年度の太陽光発電システムの国内市場規模は前年度比で1.7倍の6553億円。このうち、住宅向けの太陽光発電システムは全体の8割近くを占める5045億円にものぼる。同研究所によれば、2015年度には1.5兆円近い市場になると予測している。 国内では数少ない伸び盛りの市場だけに、競争も激化している。今回のCEATECでは各社から公共産業/住宅向け太陽光発電システムが展示されており、技術競争力をPRしていた。 そのうち、京セラは市場の黎明期から太陽光発電システムを手がけてきたメーカーのひとつだ。同社ブースでは「サムライ」「ヘイバーン」などの住宅向けソーラーパネルが出展された。 光を吸収してエネルギーに変換するソーラーパネルのシリコン材には、「多結晶」「単結晶」「アモルファス」といった様々な方式があるが、京セラは一貫して多結晶を採用している。同社の特徴は、原料から完成品まで一貫して自社で開発・製造をおこなっている点だ。 京セラ ソーラーコーポレーションのマーケティング部 奥村朗氏は「太陽光発電システムを手がけるメーカーの多くは他社からのOEMによるものだが当社は全工程を自社で製造開発している。主要メーカーでトータルで品質を管理できているのは当社だけなのでは」と説明する。 最近は、カタログなどで高い発電効率を謳う製品も他社から続々と発売されているが、京セラが自社開発にこだわるのは「耐久性」と「コストパフォーマンス」を重視しているからだ。 「太陽光発電システムは、20年30年と使うものであり、経年による品質劣化が小さいもの、かつイニシャルコストが安いことが重要。当社ではパネル単体の効率ではなく、ラインナップの多様化によって様々な屋根の大きさや形状に対応させて屋根全体の発電量の向上を狙っている。単に発電効率だけでみるのではなく、耐久性を含めたトータルの性能を見て欲しい」と奥村氏。 さらに、自社による開発の強みは、今後の開発にも活かされていくという。「自社開発ならば、コストを下げられる部分や効率を上げられる部分を製造の全ての工程で検証ができる。当社の多結晶式でも年で数パーセント程度の効率向上が望め、今後の市場拡大にも十分対応できるだろう」と自信を見せた。