ムーディーズ・ジャパンは31日、東京電力の長期格付をA1からBaa1へ格下げしたことを発表した。 今回の格下げは、特に福島第一原子力発電所の被害により、財務面で東京電力に大きな負担が発生していることを反映。放射性物質の放出防御と圧力容器の冷却に努めているが時間がかかること、また復旧には原子力発電所の廃棄費用、代替電力の調達費用など甚大な費用が同社の借入金依存度を高めるとともに、電力料金の大幅な引き上げにつながる可能性を指摘。それができない場合には向こう2年間にわたって同社が赤字を計上する可能性もありうるとムーディーズは考えている。さらに、政府自身が東京電力の損害賠償に対し必要な措置を講じることを示すものはなく、会見のなかでも東京電力は損害賠償から免責されるものではないということが言及されている点も考慮している。 ムーディーズでは、東京電力の単独での信用状態は投資適格水準には見合わなくなってきており、引き続き格下げの方向で見直しを検討するとしている。