被曝を恐れて海外の船舶や航空機が行き先を変更する。文字通りのジャパン・パッシング(日本通過)に、国土交通省が危機感を露わにした。大畠章宏国交相は18日の会見で、こう話した。「福島の原子力発電事故等により、国際海運で一部の外国船が東京寄港を回避する動きがある。飛行機も欧州系の航空会社を中心に発着する空港を変更する動きがある」航空機ではドイツのルフトハンザ、イタリアのアリタリアの計4便が、予定されていた着陸地である成田空港から関西空港や中部空港変更した。「引き返そうとしたLPG貨物船を呼び戻した」と、ある企業の副社長は話した。国交省も海外船舶からの不安を訴える問い合わせは複数あるという。「道路、鉄道、空港、港湾の復興の状況と原子力に関する線量を明らかにしたものの英語版を作る。政府全体で正確な情報発信に努める」と、大畠氏は強調した。19日にはICAO(国際民間航空機関)が「日本への渡航制限はない」というニュースリリースを英文で行った。国交省航空局は、羽田空港に近い神奈川県川崎市と成田空港に近い茨城県鉾田市の測定地点における放射線量の掲載を、20日にウェブサイトで開始した。同日午後時点の成田空港と羽田空港の放射線量は年換算で0.95mSvと0.35mSv(ミリ・シーベルト)で、人体への影響はないと記されている。胃のX線検診は1回で0.6mSvだ。外務省でも各国の在日大使館への英文明資料を用意して、問い合わせなどの対応に応じる。松本剛明外相も「災害の時は現場、現地と離れたところの感覚は一致しない。原子力の情報は公開をしっかりさせてもらっているという話を、大使館などに向けて発信し、ご理解をいただけるようになっているのではないかと思う」と、話した。