Microsoft iSCSIソフトウェア・イニシエータを使用してゲストと接続されたLUNでは、このアプローチの使用をお勧めします。現在または将来的に災害対策としてVMware vCenter Site Recovery Managerを実装する予定がある場合、アプリケーション・データがiSCSI RDM上に配置されていると、フェイルオーバー/フェイルバック・プロセスが大幅に簡易化され、VMwareからもよりよいサポートが受けられるからです。また、VMware vCenter Site Recovery Managerを利用する予定がある場合は、すべてのデータストアとRDM LUNを同一のストレージ・システム上に配置してください。
何らかの理由で、アプリケーション・データを格納するためにVMFSデータストアやNFSデータストアを使用して環境を構成しなければならない場合、バックアップにはSMVIを使用するのがベストの選択です。SMVIは、3つのアプリケーションすべてについて整合性のあるバックアップを実行できますが、いくつかの点で制約があります。現在、VMware VSS Requestorの制約のために、SMVIではトランザクション・ログの切り捨てやバックアップ検証を自動的に実行できません。いずれの処理も、手動で実行する必要があります。また、VMware VSS Requestorは現在、Windows Server 2008を実行するVMのアプリケーション整合性をサポートしていません。そのため、このソリューションを使用できるのは、トランザクションレベルのきめ細かなリストアが要求されないシナリオ(SQL Serverのポイントインタイム・リストアなど)や、バックアップ後に手動でバックアップ検証を実行できるシナリオのほか、シンプルなリカバリ・モデルのSQL Serverデータベース(SQL Serverが自動ログ切り捨て機能を提供)など、代替手段を通じてトランザクション・ログの切り捨てを実行できるシナリオに限られます。
アプリケーション整合性のあるバックアップとリカバリを実行するにはどうすればよいのか?Microsoftアプリケーションに関してアプリケーション整合性のあるバックアップを実行する最もよい方法は、必要に応じて、各VMのゲストOS内にSnapDriveと該当するSnapManager製品(SnapManager for Microsoft Exchange、SnapManager for Microsoft SQL Server、SnapManager for Microsoft SharePoint Server)をインストールすることです。これらのツールには、アプリケーション整合性のあるバックアップ、バックアップの自動検証、きめ細かなリストアを実行するための固有の機能が備わっています。たとえば、SnapManager for Exchangeには、単一のメールボックスをリカバリする機能があります。
DRを実装する最もよい方法は何か? NetApp SMVIとアプリケーション対応のSnapManager製品を使用すれば、VMとホストされたMicrosoftアプリケーションについて、複製やディザスタ・リカバリを実行できます。VMware vCenter Site Recovery Managerをこれらの製品と併用することで、ディザスタ・リカバリを完全に自動化できます。このソリューションを使用すると、Tech OnTapの記事『 VMware Site Recovery Managerによるシンプルな災害復旧の対策』で紹介したような複雑な環境でも、フェイルオーバー・ワークフローを完全に自動化することが可能です。
マルチパスの実装はどうすればよいのか? 環境の安定性強化を目指すなら、マルチパスを実装する必要があります。FCベースのアーキテクチャであれば、Asymmetric Logical Unit Access(ALUA)プロトコルとRR PSP(ラウンドロビン・パス選択ポリシー)の使用をお勧めします。ALUAを使用すると、SCSIターゲット・デバイスとターゲット・ポートの間で自動的にパスのネゴシエーションが実行され、動的な再構築が可能になります。ESXホストではALUAがデフォルトで有効です。NetAppストレージ・アレイでは、ALUAをイニシエータ・グループで有効にする必要があります。そうすることで、より動的な、プラグアンドプレイと同様のSANアーキテクチャが実現します。RR PSPは、パスの冗長化と帯域幅の集約機能を提供します。ゲストVM内にはDSM(Device-Specific Module)が必要ない点に注意してください。