ブロードバンド光ネットワークは、ユーザーからのアクセス回線を集約するアクセスネットワークと、その上位に位置するメトロ/コアネットワークから成る。証券取引の例では、証券会社が証券取引所と通信できないと収入減に直結するため、ネットワークは高信頼であることが必須となる。また収入増のためには、より多くの売買注文を送信可能な大きな通信帯域が望まれる。高信頼VPN(VirtualPrivate Network)では、企業は基幹業務にデータセンターを利用し、複数事業所のLAN(Local Area Network)とデータセンターを接続する。VPN外からのパケットの混入を防ぐとともに、企業活動に対する通信障害の影響を最小限に抑える必要がある。また、事業所間の音声通信(IP電話)がデータ通信の影響を受けて音が途切れる、声が聞き取れないということがないように、音声通信の優先制御が求められる。高精細映像監視においては、安全・安心な社会のためのサービスを想定している。監視カメラと監視センター間の通信は、映像データを送るための大きな通信帯域と映像品質が維持されなければならない。
これらの課題を解決可能な伝送方式としてMPLS-TP方式があり、IETF(Th e Internet Engineering Task Force)、ITU-T(International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector)の両組織で標準化が進められている。この方式は従来のルータ/スイッチとは異なり、経路制御機能を個々のパケット転送装置から分離し、管理用ネットワーク上に集約するアーキテクチャをとることができる。これにより、ネットワーク全体の経路や帯域などのリソースを一元管理し、通信品質の保証や障害範囲の特定が容易になる。
また、ATMネットワーク相当のきめ細かな保守管理を実現するために、ユーザーごとの仮想的な回線(論理回線)の接続性確認(確認用パケットの周期的な送受信)、論理回線障害時の経路上の各装置への障害通知、予備の論理回線への切り替え(プロテクション)といった各種のOAM(Operation、Administration and Maintenance)機能も規格化されている。