富士通は26日、ハイビジョンの16倍の解像度を持つ、超高精細なスーパーハイビジョン(SHV)の映像伝送システム用コーデック装置を開発し、日本放送協会 放送技術研究所(NHK技研)に納入したことを発表した。「スーパーハイビジョン」は、NHKが研究開発中の次世代テレビ向けフォーマットで、7680×4320画素の解像度(現行のフルハイビジョンの16倍)を持つ超高精細映像となる。この装置は、毎秒60フレームからなるSHVの大容量映像データを効率的に圧縮する、H.264符号化方式のコーデック装置となっている。世界で初めて、高画素デジタル映像信号形式の1080p(プログレッシブ)に対応したH.264コーデック装置となる。従来の1080i(インターレース)対応装置「IP-9500」と比べ、SHV信号を時間方向に2分割する処理が不要であるため圧縮効率が2倍となっている。また、これまでSHV映像を扱うためには16台のコーデック装置が必要だったが、最新装置では半分の8台で実現でき、システムの小型化に貢献しているという。 従来装置と比べ圧縮効率が2倍となり、フレーム間予測処理の効率化などによりシステム全体の画質向上を実現、放送網やIP回線を使用して効率的に伝送可能となっている。また圧縮効率の向上により、低帯域での伝送が可能となるため、回線コストの削減にもつながる見込みだ。 NHK技研では、将来のSHV放送の実用化を目指し、システム全体の小型化、高画質化、安定伝送に向け、研究開発をさらに強化するとのこと。なお、本装置が用いられたSHV映像伝送システムは、5月27日~30日に開催される「技研公開2010」の「スーパーハイビジョン高効率映像符号化装置」コーナーで展示される予定。