大きなポイントは3つ。まずは世界初、画面比率16:9のワイド液晶ディスプレーを搭載したということ。次に第2世代となったドルビー社の音響技術「DOLBY HOME THEATER」と、それに連携した2つの高音質スピーカーにより、5.1chのヴァーチャルサラウンドを実現したこと。そして映像視聴などの操作をより快適にする独自のインターフェース「Acer CineDash Media Console」を採用したことだ。この革新的な技術を搭載した「Aspire 6920」を、ノートPCとしてのトータルの使い心地を含めて、順を追ってレビューする。
音響面では2つのスピーカーと「Tuba CineBass Booster」と呼ばれるサブウーファーをヒンジの根本に配置。キーボード上部の細長い部分がそれである。スペック上は2.1chだが、強化されたDOLBY HOME THEATERとの連携で、5.1chのヴァーチャルサラウンドを再現してくれるようになっている。
エイサーは2007年から、Aspireシリーズに最適化されたこのDOLBY HOME THEATERの技術を採用していて、Aspire 6920では第2世代へと進化。第1世代と比べて追加された機能に、「Dolby Pro Logic II X」「Dolby Sound Space Expander」などがあげられる。Dolby Pro Logic II Xは、ステレオ音声を5.1ch(場合によっては6.1chや7.1ch)へと変換し、優れたサラウンド音響を実現。Dolby Sound Space Expanderは、設置距離の近いスピーカー同士でも幅と広がりのあるサウンドを奏でてくれる。これらの技術が融合され、Aspire 6920はヘッドホンでも2チャンネルスピーカーでも、臨場感のある音を聴くことが可能だ。
実際に聴いてみた感覚も、サブウーファーの効果で低音がたっぷりとあり、ノートPCとしては申し分のない実力だ。驚いたのはヘッドホンを使ったときで、映像作品にもよるが、まるで自分の背面から音が聞こえてくるような臨場感が味わえるのだ。ヘッドホンは左右2チャンネルだから、DOLBY HOME THEATERによる5.1chのヴァーチャルサラウンド効果が十分に発揮されているといえるだろう。
●メディアコンソールを統合、「Acer CineDash Media Console」の効果は?
映像視聴をより快適に楽しむための機能として実装されたのが、Acer CineDash Media Console。キーボードの左側に配置されたパネルにより、DVDの再生/停止、ボリュームコントロールなどが行えるというものだ。ボタンは凹凸のないタッチ式。ピアノのような光沢仕上げになっているほか、ボタンの文字がクリアに輝いていて高級感もある。軽く触れてみると、再生中の音楽のボリュームが変わる。しかも、ボリュームとボタンの光が連動するというギミック。直感的に操作できるだけでなく、視覚的にも楽しめるユニークな機能だ。
Aspire 6920は3モデルが用意されている。それぞれ液晶ディスプレーや音響システム、メディアコンソールなどは同じだが、搭載されるCPUやHDD容量、Blu-ray対応の有無などで変わってくる。最上位の「AS6920-832G32」では、CPUにインテルのCore 2 Duo T8300(2.4GHz)、320GBのHDD、Blu-ray再生対応といった機能を実現。ミドルレンジの「AS6920G-812G25」はCore 2 Duo T8100(2.1GHz)、250GBのHDD、DVDスーパーマルチドライブをチョイス。下位モデルの「AS6920-602G16」は、Core 2 Duo T7500(2.2GHz)に160GBのHDDとDVDスーパーマルチドライブといった構成だ。メモリは全モデルで2GBを標準装備。OSもWindows Vista Home Premium SP1となっている。