ノーテルネットワークは20日、同社が主催する「ノーテル データ ワールド 2006」において同社のイーサネットスイッチイング ビジネスディレクターのSanjeev Gupta氏が、エンタープライズ対応製品に関する世界的な戦略についてプレゼンテーションを行った。 ノーテルは昨年の12月に高性能企業向けルータを製造・販売するタスマン・ネットワーク社の買収を発表、これにより同社は企業向けの通信機器関連の製品を大きく更新することになり、あらたな戦略を展開することになった。 現在ネットワーク市場の傾向として、モバイルを利用した企業自体のバーチャル化や、ERPなどのアプリケーションを利用することによるスピード化やコスト削減が行われており、これに対応する製品の需要が多く見込まれている。また、企業で利用されるネットワークアプリケーションも多様化が進んでおり、電子メールなどのテキストデータだけでなく、音声データ、動画データなどが混在し、それぞれのネットワークアプリケーションに対応した機材の増加、さらにはファイアウォールやネットワークのQoSを管理する機器などが増加し、管理運用面でのデメリットも生まれてきている。 ノーテルの戦略は「これらの機器をコンバージョンさせること」だ。つまり一つの機器にまとめ上げ、データ、ボイス、イメージ、ムービー、ストレージといった別々のデータをIP上でまとめ上げ、リアルタイムサービスを提供することにほかならない。また、「ネットワーク速度はここ12年間で1Mbpsから1,000Mbpsへと大幅に上昇しており、これはムーアの法則におけるCPUの集積密度の上昇率を大きく超えている」という。こうしたネットワークの高速化に対するために、データセンターでは集中処理とネットワークのインテリジェンス化の必要が叫ばれており、ここでもやはりコンバージョンが行われていくことが必要であり、「ファイアウォール、アンチウイルス、アンチスパムといったアプライアンスサーバー類を統合するといったことが必要であり、それを成し遂げるのがノーテルの戦略である」と語る。 もう一つ大きな戦略ポイントはモバイル利用における企業のバーチャル化をどうサポートしていくかという点だ。企業には、モバイル機器や携帯電話のネットワークと社内ネットワークをシームレスに扱いたいという欲求がある。しかし、無線LAN環境などのモバイル利用にはセキュリティの面で信頼性が低いといったデメリットもある。どのようなネットワーク、アプリケーションであっても安全なネットワーク構築をしていくという点がノーテルにとっての大きなステップとなる。 今後ビジネスで利用されるアプリケーションの多くはWebに対応し、いわゆるサービス指向アーキテクチャー(SOA)となると見られており、ネットワークとSOAの間に登場するミドルウエアの分野が重要なポジションを占めようとしている。この分野において戦略的な価値を見いだすために、IBMやマクロソフトを初めとしたアプリケーションベンダーとのコラボレーションを進めており、それぞれのアプリケーションに対応したAPIをもつ製品をリリースすることでこれらに対応してくとしている。 NGN(次世代ネットワーク)を見据え、コンバージョンを意識した製品群をリリースすることにより、ノーテルはエンタープライズ分野においてもさらなる飛躍をはかろうとしている。