最後に、CATV網で実現される通信速度の向上がめざましいことが驚きであった。ADSL、FTTHともに最近は速度向上のニュースはなく、FTTHの100Mbpsで頭打ちという感があった。実際、インターネットに接続するだけなら100Mbpsを使い切るサービスも現状ほとんど提供されておらず、速度向上に対する要求も少ないといえる。しかし、サービスの基本メニューに動画配信を置き、マルチメディアコンテンツを豊富に有するCATVでは事情が異なる。また、「トリプルプレイサービス」を一本の回線で提供したいという要望からも、回線速度はさらに向上することが期待されている。いきなり1.2Gbpsは少々極端にしても、c.LINKの250Mbpsなら、過剰とはいえない回線容量だ。「VoD」(Video on Demand)や「GoD」(Game on Demand)といったサービスの提供も目前に迫ってきており、実需要に支えられた技術革新は堅実かつ急速に普及しそうだ。インターネットでは、ISPや大手通信キャリアの動向に注目が集まりがちだが、CATV網もここにきて急速にその魅力を高めている。事業者による地域分割には功罪があり、サービス向上の速度は事業者の腹づもり一つという面はあるにせよ、魅力的な融合サービスインフラとして目の離せない存在になりつつあることが実感できた展示会であった。
《渡邉利和》