CATVインターネットに対応した集合住宅の大半は、各世帯まで同軸ケーブルが引き込まれており、ここにケーブルモデムを接続することになる。しかし、この方法だと「DOCSIS 2.0」を用いた最大30Mbpsの接続サービスを提供するのが限界だ。
さらなる高速化を狙うには、BフレッツやUSENなどと同じように、集合住宅までは光ケーブルを引き、そこから各世帯まではVDSLを利用するという方法もある。しかし、集合住宅の電話回線となると、CATV事業者が管理していない設備になるため、管理組合などとの調整で手間がかかることになる。
これらの問題を解消するのが、松下電器産業が展示している同軸ケーブルで最大270Mbpsの通信が可能な技術「c.LINK」だ。これにより、普段からCATV事業者がメンテナンスを行っている同軸ケーブルのみを用いて、さらなる高速化が狙える。また、VDSLと比較すると高い周波数帯域を用いており、VDSLよりもノイズへの耐久性も強いとアピールしている。さらにスペック上は最大で270Mbpsとなっているため、フィールド実験では連続して100Mbps以上の通信速度が確認されているのだ。
このように、集合住宅にCATVインターネットを提供している事業者には魅力的な製品だが、FTTH事業者での展開も見込まれているという。
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「c.LINK」を採用した宅内側の装置。フィールド試験で使われた機器のため少々大きいが、商用サービスで提供されることには現行のケーブルモデムと同じくらいの大きさになるとのことだ |