さて、もう今年も残すところ1週間を切ったわけだが、今年のブロードバンドを振り返ると、いろいろなことがあった。 春はDSLのスペクトル管理標準に関する会議が大もめにもめ、夏はBlasterウイルスで大騒ぎになり、秋から冬はADSLの24M/26Mサービスや40/45Mサービスの開始と、急速な速度アップが実現されていった。2003年のはじめの頃は、まだ12Mサービスがもっとも高速なADSLサービスだったわけで、1年の間に3〜4倍の速度アップが実現したことになる。 ADSL以外も、FTTHは10Mbpsサービスは姿を消して100Mbpsサービスがメインとなり、CATVもDOCSIS2.0モデムによる30Mbpsサービスが着実に増加してきている。より高速なサービスを求める人にとっては、今年一年はけっこう幸せな年だっただろう。 ただ、速度が上がって行くにつれ、それ以外の改善されるべき点が目に付くようにもなった。ひとつは提供エリアの問題、そしてもうひとつがセキュリティの問題である。 エリアの問題は以前から言われているが、いまだにこれという解決策が見えてこない。RBB TODAYで12月19日から行っている1クリックアンケート「2003年あなたのブロードバンドは?」という設問に、5.3%の人が「ブロードバンドはまだ来ない」と回答している。 エリアの充実についてもっとも期待されるADSLだが、光収容(回線の途中が光ファイバになっている)部分があるとADSLが利用できないという制限はいまだにある。光化された区間に平行してメタル線が残っていれば、収容替え工事によってADSLが利用できることもあるが、メタル線が撤去されてしまった場合はADSLをまったく申し込めないことになる。RT内にDSLAMを設置してのADSLサービス提供を、本格的に検討すべき時期であろう。 また、セキュリティについても、BlasterやNachiといったワーム型のウイルスが爆発的な感染を起こしたり、ウイルスによるメールがメールボックスにあふれたりしたが、セキュリティに問題のあるPCがインターネットにつながっていると、新しいウイルスが出るたびに同じことの繰り返しとなる。 とはいえ、ウイルスに感染しているPCはインターネットから切り離す、といった「解決」は、セキュリティアップデートの入手自体を困難にするため対症療法としても不十分だ。 セキュリティについての意識の低い人もガードされるように(そして「ついうっかり」という時も被害を受けないように)、 1)メーカー製PCでプリインストールされるアンチウイルスソフトを「体験版」ではなく「製品版」にする 2)WindowsUpdateの自動確認機能を強化して、パッチ状況を自動確認した時にウイルスが使用するおそれがあるセキュリティホールが残っている場合に「インターネットを使っているだけでウイルスに感染するおそれがあります」のような強い警告のメッセージがポップアップするようにする 3)侵入検知・アンチウイルス機能が標準機能されているブロードバンドルータを普及させるといった対策がとれるのではないだろうか。(3は、トレンドマイクロのGateLock X200や、チェック・ポイントのS-boxなどをイメージしてほしい) 2004年は、より多くの人がインターネットをのんびり気楽に楽しめるようになってほしいものだ。