MISは、JR東日本の管理する都内6駅内の無線基地局の設置を求め、3月に総務省に提出した申請書の答申を受ける前に先手をうった。 この一件は、3月にMISが都内6駅での無線基地局の設置を求め、JR東日本との間の調停を求めたもの。申請書を提出した段階で、総務省は「申請のとおり認可することにしたい」という方向性をもって電気通信事業紛争処理委員会に諮問をまかせた。しかし、先月末に紛争処理委員会がまとめた内容は、MISの提出した土地認可申請に基づく認可は相当ではないという結果であった。最終的な総務省の正式な答申は、電気通信事業紛争処理委員会の結果も検討したうえで出されることになる。現状では総務省から正式な答申は出ていないが、MISは電気通信事業紛争委員会の出した結果に対し、本日付けで新たに土地などの使用認可を求める要望書を総務省に対して提出した。 電気通信事業紛争委員会は、 ・JR東日本側がすでに該当する周波数帯を業務利用しているため、MISの申請による基地局や交換設備設置認可をすることで本来の業務に支障をきたす ・無線LANサービスはスポット的に利用者の便宜をはかるサービスであるため、一部の駅で利用できないことに対して支障は出ないなどの理由から、土地使用の認可は相当ではないとまとめていた。 これに対し、MISは ・第一種電気通信事業者として認可を受けた交換設備が、電気通信事業紛争委員会では端末設備同様と捕らえられ、通信の連続性としてのサービス提供という観点に対して認識のずれが生じている ・電気通信事業紛争委員会のまとめた内容はベンチャー企業の振興に逆行している などの理由から、MISは総務大臣の正式な答申の内容に関わらず、先手をうって土地等使用の認可を求める要望書を提出した。なお、総務省は本日付けで要望書を受理した。 MISは、電気通信事業紛争委員会のまとめた内容に対して、電気通信事業紛争委員会が理由とした内容の一部が受け入れられるようなことがあれば、今後の情報通信行政に致命的な悪影響を与えるとしている。そうした立場より、今回の要望書提出となった。 東工大の太田昌孝氏より中立的な立場からコメントいただいた内容によると、おおむね両者の意見の相違点は以下のような部分にあるという。 「通信の解釈が両者間で異なっている。通信は送信者と受信者の行為であり、現在の電気通信事業法においては通信には複数の第一種電気通信事業者が介在して利用を中継する。そして、MISの無線LAN設備は第一種電気通信事業者の交換設備として認可を受けている。ところが、電気通信事業紛争委員会は、『本件無線LAN設備は、隔地者間の通信を行うものではない』とし、通信と線路を混同しているようにも見受けられる」 ほかにも、細かい部分でいくつか相違点がみられると太田氏は語った。