近年、K-POPアイドルが所属する芸能事務所の代表などから性被害やパワハラを受けたという主張が定期的に登場している。
直近では、メンバー6人中4人が日本出身というガールズグループMADEIN(メイディン)の元メンバーが、所属事務所143エンターテインメント代表から強制わいせつを受けたと主張し、告訴に踏み切った。
4月29日には記者会見が行われ、それによると、昨年11月にMADEINを脱退したガウンが、所属事務所代表を強制わいせつの容疑で告訴したという。
ガウン側は「昨年10月、143エンタの創業者であり代表プロデューサーであるA代表は、所属アイドルメンバーを代表室に呼び出し、3時間にわたり暴言と脅迫を加えた後、強制わいせつおよび性的屈辱を与えるセクハラ行為を行った。当時、被害者は満19歳未満で、児童・青少年の性保護法の対象となる未成年だった」と主張している。

これを受けて、143エンターテインメント側は「当該メンバー側の主張には事実と異なる部分が多い」とし、「一方的な主張を根拠に巨額の慰謝料を要求し、それを拒否されると、事件発生からおよそ6カ月が経過した時点で刑事告訴に踏み切った点も非常に遺憾」と立場を発表した。
双方が真っ向から対立する構図となっている。
K-POPアイドルへのセクハラ・パワハラ
MADEIN出身ガウンは男性代表からの強制わいせつを主張しているわけだが、男性アイドルが女性代表から性被害を受けたと主張するケースもある。
ボーイズグループOMEGA X(オメガエックス)は2022年11月、記者会見を開いて、所属事務所SPIREエンターテインメントの代表からセクハラを受けていたことを涙ながらに明かした。

メンバーたちは「代表は練習が終わった僕たちを呼んで酒を飲ませ、セクハラ発言、太ももや手を触り、顔を合わせるなど、常習的にセクハラをした」と証言した。
当時、多くのメディアが取り上げる大きな問題となったが、2024年3月には前所属事務所SPIREエンターテインメント側が「OMEGA X強制わいせつ事件」記者会見を行い、逆に、女性代表がメンバーから強制わいせつを受けたと主張した。
当時の現場の様子を収めたCCTV映像の一部も公開され、事態は急転した。同年8月には、メンバーのフィチャンが強制わいせつ容疑でソウル東部地検に送検されている。
K-POPアイドルが被害を訴える例は、セクハラだけではない。
2019年には、TheEastLightのメンバーだったイ・ソクチョル、イ・スンヒョン兄弟が、プロデューサーから常習的に暴行を受けていたとし、常習児童虐待疑惑で告訴したこともある。このプロデューサーは懲役1年4カ月の刑を言い渡された。
ほかにも同年、ボーイズグループTRCNGメンバーのウヨプ、テソンも、事務所スタッフに暴行、暴言を受けたとして計3人を告訴。この内2人は罰金刑の処分を受けた。
2023年には、K-POPガールズグループ公園少女(GWSN)の元メンバーであるミヤが、『朝日新聞』とのインタビューで「(韓国での練習生時代)私たちは監獄にいた」と伝え、波紋を呼んだ。

ミヤは「練習室に行くとマネージャーの前で体重を測った。バナナとゆで卵を食べる、リンゴ1個だけ食べるなどの献立も報告する。狂いそうだった」とし、「お金も自由な時間も携帯電話もなかった。家族とも、マネージャーの電話でやっと連絡が取れるほどだった」と明かし、異常な実態を伝えた。
K-POP界が黄金期を迎え、芸能事務所によるアイドルの発掘と育成が活発化し、1年の間に数十組、数百人規模の新人が次々とデビューしている。だがその一方で、アイドルと所属事務所の歪んだ関係性に光が当たる場面も確実に増えてきた。
本来であれば最も頼れる存在であるはずの事務所とのトラブルに苦しむK-POPアイドルが、これ以上現れないことを切に願う。
(文=スポーツソウル日本版編集部)
■【画像】整形までサポートしたOMEGA Xに“強制わいせつ”された…被害者は女性代表?