突然この世を去った元プロサッカー選手のカン・ジヨンさんが生前に語っていた家庭の事情、“死”に対する思いが再度注目を集めている。
カン・ジヨンさんは4月22日、35歳の若さで亡くなった。親交の深かった元サッカー選手のク・ボンサンが23日、自身のSNSで訃報を伝えた。
1989年11月23日生まれのカン・ジヨンさんはセンターバックを本職とし、2009年に浦項（ポハン）スティーラーズへ入団。以降はプロとセミプロのクラブを渡り歩き、プロでは釜山（プサン）アイパークや富川（プチョン）FC 1995、江原（カンウォン）FC、仁川（インチョン）ユナイテッドなどでプレーした。
本来の名前は「カン・デホ」だったが、2014年に「カン・ジヨン」へ改名。浦項では岡山一成氏（現ザスパ群馬ヘッドコーチ）とチームメイトだったことも。Kリーグ1では通算34試合1得点、Kリーグ2では通算101試合6得点2アシストを記録し、2022年シーズンを最後に33歳で現役を引退した。高い人気を誇ったアイドルグループIZ*ONEのメンバーだったクォン・ウンビの従兄でもあるという。
突然の知らせが、彼を知るサッカーファンや関係者に大きな衝撃を与えたことは言うまでもない。また、彼が2カ月前に出演していたJTBCのバラエティ番組『離婚熟慮キャンプ』の視聴者からも深い悲しみの声が上がった。
生前語っていた“金銭トラブル”
カン・ジヨンさんは同番組に出演した際、現役引退後、化学物質の製造工場で月収300万ウォン（約30万円）台後半の給与で働いていると明かすとともに、家族間の金銭トラブルについても語っていた。現役時代は調子の良い年で年俸1億5000万ウォン（約1500万円）を稼いでいたものの、プロ入りから11年間、父親が金銭管理を担当し、本人は一銭も受け取っていなかったという。
そのため、結婚後は金銭的な理由で夫婦間にも亀裂が発生。カン・ジヨンさんはプロ入り後、長年父親に通帳を預け、生活費として小遣いを受け取る形で生活していたが、結婚して子どもが生まれたあとも、自分の稼いだお金を自由に使うことができなかった。彼の両親は50坪ほどのマンションに住んでいたが、「売れないし、お金がない」として支払いを拒んだという。
そして妻もまた、金銭的な問題が夫の大きなストレスになっていることを知っていた。番組では「夫が金銭的に限界を感じると“もう死にたい”と言うことがある」と明かし、過去に35階建てのマンションのベランダの外側に身を乗り出したことがあったとも語っていた。
出演番組は再視聴不可に
こうした金銭的なストレスと家族との軋轢のなかで、彼は「寝ている間に死ねたらいいのに。本当に死にたいと思っている。車にはもう準備もしてある」と涙を流しながら打ち明け、「一生懸命生きているのに、その気持ちを打ち砕かれてしまった」と語っていた。
今回の訃報により、番組で語られていた彼の苦悩や家族問題に再び関心が集まっている。サッカーファンや関係者、そして視聴者からも追悼の声が相次いでいる。
こうした状況を受けて、『離婚熟慮キャンプ』の制作陣は、放送済みエピソードの削除を決定。故人に対する配慮から、「番組の内容が不適切に拡大解釈されたり、刺激的な話題として扱われたりすることを防ぎたい」とし、第27～30話までの中で、カン・ジヨンさんに関連する場面を再視聴サービスから削除する措置を取った。
（記事提供＝OSEN）
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