第1話から第8話のパート1では、壮絶ないじめシーンや新境地を開いたソン・ヘギョの演技が話題となった。いよいよ本格的に復讐が始まる…というところで終わったため、パート2の配信を楽しみにしていた人も多いことだろう。
ヘギョが演じるドンウンはどのようにして復讐を果たすのか。そしてドンウンの復讐を手伝うチュ・ヨジョン(イ・ドヒョン)との仲はどうなるのか? (以下、物語の結末にふれるネタバレあり)
あらすじ:
母子家庭で育ったムン・ドンウン(ソン・ヘギョ、高校時代:チョン・ジソ)は、金持ちのパク・ヨンジン(イム・ジヨン、高校時代:シン・イェウン)らから激しいいじめを受け、生涯癒えることのない心の傷を負った。生きることに絶望していたが、ヨンジンら加害者5人に復讐することを生きる力にして教師になる。
時は流れ18年後、長年温めてきた復讐を実行するときがやってきた。形成外科医のチュ・ヨジョン(イ・ドヒョン)、夫からDVを受けているカン・ヒョンナム(ヨム・ヘラン)の力を借りて、5人を攻撃していくドンウン。ヨンジンから反撃を受けるが、果たして復讐は成功したのだろうか。
登場人物
ムン・ドンウン(ソン・ヘギョ、高校時代:チョン・ジソ)
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本作の主人公。高校時代に壮絶ないじめに合う。いじめにより負ったやけどの傷が体中に残っている。自分をいじめた加害者たちに復讐するべく、18年間かけて準備を進める。
チュ・ヨジョン(イ・ドヒョン)
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形成外科医で、ドンウンの協力者で囲碁を教える。病院長の息子として生まれ不自由のない生活をしてきたが、父親が患者に殺されるという悲しい過去がある。
パク・ヨンジン(イム・ジヨン、高校時代:シン・イェウン)
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ドンウンをいじめた中心人物。親が金持ちであることを盾にやりたい放題の女性。気象キャスターとなり金持ちのハ・ドヨンと結婚。一人娘・イェソルに恵まれ順風満帆な人生を送っている。
カン・ヒョンナム(ヨム・ヘラン)
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ドンウンの同志。DV夫に虐げられる日々を送っている。ドンウンに夫を殺してくれるなら復讐に協力するともちかける。
ハ・ドヨン(チョン・ソンイル)
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ヨンジンの夫。建設会社の社長。金も地位もあるが、ヨンジンの過去を知ることでかつてない大きな壁にぶち当たる。
チョン・ジェジュン(パク・ソンフン、高校時代:ソン・ビョングン)
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ヨンジンとともにドンウンをいじめていた加害者。金持ちの親に寄生する典型的なドラ息子。キレると手に負えない。色覚異常を患っている。
イ・サラ(キム・ヒオラ、高校時代:ペ・カンヒ)
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ヨンジンの仲間で、ドンウンをいじめていた加害者。画家として活動しているが、薬物に依存する堕落した生活を送っている。
チェ・へジョン(チャ・ジュヨン、高校時代:ソン・ジウ)
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ヨンジンの仲間で、ドンウンをいじめていた加害者。裕福な家の生まれではないため、ヨンジンとサラにバカにされている。客室乗務員になったのは玉の輿に乗るため。
ソン・ミョンオ(キム・ゴヌ、高校時代:ソ・ウヒョク)
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ヨンジンの仲間で、ドンウンをいじめていた加害者。へジョンと同じく裕福な家の生まれではないため、大人になってもジェジュンのパシリをやらされている。
ドンウンがヨジョンへの愛に気付き「剣舞を踊る処刑人」に!
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副題「~輝かしき復讐~」のとおり、ドンウンは鮮やかな復讐を見せてくれた。
ヨンジンは高校時代、ドンウンだけでなくユン・ソヒ(イ・ソイ)やキム・ギョンラン(アン・ソヨ)らをいじめていたことが分かった。中でもユン・ソヒをビルから突き落とし殺すという罪まで犯していた。母親が隠蔽したことで18年間逃れてきたが、その秘密を知ったミョンオも殺そうとする。ドンウンはヨンジンのすべての罪を明らかにし、刑務所に入れることに成功した。
ヨンジンのまわりにいたジェジュン、サラ、へジョンも保身のためにお互いを攻撃するようになり、最終的にはジェジュンは何者かに殺され、サラはヘジョンの首元を刺して犯罪者に、ヘジョンは刺されたために声を失うという悲惨な末路をたどった。
ヨンジンは、自分の手を血で汚すことなく、5人を抹殺することに成功したのだ。
しかしここでモヤモヤしたものが残る。ドンウンの協力者となったヨジョンの愛に応えるのか否か、そして何よりヨジョン自身の心の傷はどうなったのか…ということだ。
復讐を果たしたあと、雪が降る中、ドンウンはヨジョンに「海を見に行こう」と誘う。「ずいぶん古典的な誘いだね」といいながらもヨジョンはウキウキした気分で車を走らせる。車の中ではしゃぐドンウンとヨジョンは、ごく普通の幸せなカップルだ。
しかしこのデートを最後にドンウンはヨジョンのもとを去ってしまう。そして命を絶とうとしたが、ヨジョンの母、チュ病院長(キム・ジョンヨン)に「ヨジョンに生きる道を与えてほしい!」と懇願されたことで思いとどまり、今度は自分がヨジョンのために剣舞を踊る処刑人になることを決意するのだ。
再びドンウンがヨジョンの前に姿を見せるのは6カ月後。その間、ヨジョンの復讐を確実に果たすため、地道に準備をしていたわけだ。突然姿を消したドンウンにヨジョンは怒りを隠せなかったが、「復讐ではなく、愛だったみたい」とキスをしてきたドンウンを抱きしめる。
このシーンで「やはりソン・ヘギョはラブストーリーが似合う」と感じた人も多いことだろう。最終話でようやくヨジョンの傷を癒す復讐が始まったのだ。
ドンウンの心を溶かしたヨジョンの究極の愛
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ドンウンがヨジョンへの愛に気付くには、長い時間がかかった。もちろん復讐という目的を果たすために恋愛どころではなかったということもあるのだろうが、そもそも復讐のためにドンウンはわざとヨジョンに近づいたからだ。
ドンウンは何が何でもヨンジンがソヒを殺した証拠を見つける必要があった。そこでソヒの母親からソヒの遺体がヨジョンの母親が院長を務める病院に冷凍保存されていることを聞かされ、ヨジョンに「囲碁を教えてほしい」と近づいた。
しかしヨジョンはドンウンの真意を知っていたことが判明。知りながらも「ドンウンに利用されよう。ご用命とあればどこへでも駆け付けよう」と決心していたのだ。
一方でドンウンもヨジョンを利用している自分に罪悪感を抱いていた。なぜならヨジョンも父親をサイコパスのカン・ヨンチョン(イ・ムセン)に殺され、心に深い傷を負っていたからだ。一度目にヨジョンの前から姿を消したドンウンは「自分と同じ被害者なのに彼を利用するなんて…」と罪悪感にさいなまれたためだった。
この時点ですでにドンウンはヨジョンを愛し始めていたのだろう。しかし彼女には復讐という目標がある。最終的には、偶然再会したヨジョンに協力を頼み、見事に復讐を完遂した。その間、ヨジョンの純粋な愛にドンウンは癒され、心を動かされていったのだろう。だからこそヨジョンのもとを去り、死のうとしたのかもしれない。
ヨジョンの温かい愛が、凍ったドンウンの心を溶かした。二人が愛を育んできた時間を丁寧に描いてきた本作。だからこそエンディングで、カン・ヨンチョンが収監されている刑務所に向かう直前、お互いに「愛してる」と言うシーンに深みが出るのだと感じた。
ドンウンはひとりぼっちではなかった!
孤独な闘いを続けてきたドンウンだが、実はひとりぼっちではなかったことがパート2で明らかになった。
その一人が、ドンウンがヨンジンの家を偵察するために借りたヴィラの大家(ソン・スク)だ。パート1ではドンウンの敵なのか味方なのか、いまいちわからなかったが、10代のドンウンを知る人物だということが判明した。
ある冬の寒い夜、生きることに絶望したドンウンが川で死のうとしたとき、同時に入水自殺しようとしていたのが大家だった。その姿を見たドンウンは思わず大家を助ける。岸に上がった大家はドンウンに向かって「私たち、春に死のう」と言い、抱き締める。
のちに大家はドンウンのことを「命の恩人」だと語っており、成長したドンウンが部屋を借りに来た時、すぐに自分を助けた少女だと気付く。そして破格の家賃で部屋を貸すのだ。ドンウンがどこに向かって走っているのか、恐らく少しは気づいていたのだろう。
最初ドンウンは大家のことを覚えていなかったが、すべての決着がついたとき、川での出来事を思い出す。そして復讐ばかりに目を向けていた自分のまわりにも、心優しい大人がいたことを思い知るのだった。
すべてに決着をつけたあと、ドンウンは大家に「いつかある春の日には花を咲かせます」と感謝の手紙を送る。自分の人生は愛に恵まれず、運にも見放されていたのだと思っていたドンウンが、決してそうではなかったと気付く、とても印象的なシーンとなった。
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■筆者プロフィール
咲田真菜
舞台・映画・韓国ドラマの執筆を手掛けるフリーライター。映画『コーラスライン』でミュージカルに魅了され、あらゆる舞台を鑑賞。『冬のソナタ』で韓国ドラマにハマって以来見続け、その流れで韓国映画、韓国ミュージカルにも注目するようになる。好きなジャンルはラブコメ、ファンタジー、法廷もの。ドロドロした愛憎劇は苦手。好きな俳優はイ・ビョンホン、イ・ジョンジェ、ヒョンビン、キム・ドンウク、チャン・ギヨン。いつか字幕なしで鑑賞したいと韓国語を勉強中。