同作は、1人の女性の小さな成長を描くホビー・ヒューマンドラマ。イベント会社に勤める“普通女子”小向璃子(与田)は、ある日、同僚から言われた「量産型の人間」という言葉に自問自答してしまう。そんなとき、ふと立ち寄った模型店で『量産型ザク』を発見。店主に勧められるがままプラモデル作りに挑戦し、それが自分自身を見つめ直すきっかけとなっていく。
今回、地上波連続ドラマ初主演となる与田にインタビューを実施。役との共通点や、撮影を通じての心境の変化など、たっぷりと語ってもらった。
ーー今回のお話を聞いた時はどう思われましたか?
ちょうどマッサージを受けていたときに電話がかかってきたので、“(マッサージ中に主演が決まった電話がくるなんて)こんなことある?”って不思議な気持ちになりました。すぐに現実に戻ってきましたね(笑)。当時「量産型」の意味もあまりわかっておらず、プラモデルも初めてで、どういう感じになるのか想像できなかったのですが、いい意味で楽しみでした。

ーー初めてプラモデルに触れてみて印象は変わりましたか?
だいぶ変わりましたね。鈴木絢音さんや賀喜遥香ちゃんなど、乃木坂46のメンバーの中にはプラモデル好きな子がいたんですけど、自分は未経験。最初、楽しみではありましたけど、“器用じゃないから大丈夫かな?”という不安もありました。
ーー璃子がプラモデルを作るシーンがじっくり流れるのも本作の魅力です。緊張感も高まるのでは?
いや~ドキドキしますよね。じつは、自然と「こっちか」「アレ?」とこぼしている一言が使われていたりするので、リアルなシーンになっていると思います。
ーー演じる璃子についてはどんな印象をもちましたか?
璃子は璃子なりに一生懸命生きていて、その結果、趣味や特技がなく、いわゆる“普通”になっているだけ。そこで「量産型」という生き方があるんだなと知りました。全員が全員熱い趣味や目標があるわけではないし、「量産型」と言われるかもしれないけど、その中にもいろいろな種類があって、一人ひとりが唯一無二なんだなと思いました。

ーー公式コメントで、璃子に対して「共感できる部分がある」とおっしゃっていました。具体的にどんなところですか?
彼女の趣味や“みんながやっているからやる”といったところが、乃木坂46に入る前の私の人生とかぶる部分があって共感できるなと思いましたね。璃子がプラモデルと出会って少しずつ変わったように、私も乃木坂46に入って生き方がガラッと変わりました。乃木坂46のおかげで、将来やりたいことや“こうなりたい”という目標を見つけられたので、人生において“出会い”って本当に重要なんだなと思いました。
ーー与田さんは、もともと消極的なタイプだったんですか?
そうですね。将来の夢もなかったですし、自我がないタイプでした。(乃木坂と出会って)日常の楽しさを見つけられるようになったし、いい意味で人間らしくなったのかなと思います。
ーー璃子を作りあげる上で、特にこだわったところは?
現場の空気に溶け込むことですね(笑)。(璃子と同じイベント3部で働く)犬塚(マギー)さん、雉村(森下能幸)さん、猿渡(与座よしあき)さんなど、周りが個性豊かで面白いキャラクターが多いじゃないですか。璃子は自分の色を出すタイプではないと思ったので、その中にどう溶け込むかを考えていました。
ーー撮影を進める中でも璃子に対する思い入れは強まっていきましたか?
そうですね。最初聞いたときは不安やプレッシャーも大きかったんですけど、現場に入ってからは“主演だから”というよりも、全員で1つの作品を作っていく空気感があって、すごく居心地が良かったです。

ーー現場の雰囲気はいかがですか?
すごくいいです。3部のゆるっとした平和な空気が現場にも流れているので、殺伐とした感じがないんですよ。みなさん伸び伸びしてアドバイスもくださるので、すごくありがたい環境です。
ーーみなさん仲が良いんですね。
マギーさんが引っ張ってくださったり、与座さんが沖縄弁講座をしてくださったり、森下さんともたくさんお話しができました。あと、3部の若手のお二人(藤井夏恋、望月歩)とも仲良くなれて嬉しかったです。夏恋ちゃんは元E-girlsさんで、ジャンルは違えど同じ歌って踊る活動をしていたので、空き時間にダンスを教えていただきました。あと、同い年の望月くんとは、以前にもドラマ『モブサイコ100』(テレビ東京ほか)で共演経験があったので、クランクイン前から唯一知っている人がいる安心感がありました。
ーー好きなシーンはありますか?
(エース社員の)大石(中島歩)さんとの絡みですかね。大石さんと話す時は背筋が伸びる感じがあって、ほかの人と話をするときとは気持ちやテンションが違うんですよ。観ている側としても変化があって好きですね。
ーー放送後、SNSでトレンド入りするほどの人気です。視聴者の反応があるとやはり元気をもらえますか?
すごく嬉しいです。ドラマをリアルタイムで観ながらハッシュタグを追いかけていたんですけど、最初はプラモデルファンの方、乃木坂ファンの方、いろんな方が観てくださると思ったので、放送されるまでどんな反応があるのか緊張していました。ただ、いろんな感想を書き込んでくださっているのを見ると、嬉しかったし、安心しましたね。中でも『30分あっという間だった』といった声が多くあって、それだけ集中して観てくださったんだとホッとしました。
ーー放送後、周囲の方から声をかけられましたか?
掛橋沙耶香ちゃんをはじめ、メンバーの子だったり、マネージャーさんやスタッフさんだったり、かなり声をかけていただきました。(メンバーに見られると)「ありがと~!」と思う反面、嬉し恥ずかしって思います。
ーー璃子はプラモデルと出会って成長していきますが、与田さんはどんなときに成長できたと感じますか?
もうすぐ乃木坂46に入って7年目になるんですけど、いつも“成長できているのかな?”と不安になります。でも、振り返ってみると、ライブにしてもお芝居の現場にしても、一つひとつの現場が大きなことだったんだなと思うし、“これがなかったらこういう考えにならなかった”と思えるお仕事ばかりで……。どれか1つと言われると難しいくらい、どれも大事ですね。
ーーでは、1年目の与田さんと今の与田さんとではまったく違うんですね。
そうですね。まったく別人じゃないかっていうくらい違うと思います。それは1年前も、半年前でも同じことですね。この『量産型リコ』と出会えたことも、自分にとってはとても大きかったです。撮影チーム・キャストの皆さんを見て刺激を受けましたし、学ぶこともたくさんありましたし、“仕事が楽しいってこういうことか!”と思ったし……そういう気持ちになれるって、すごく幸せなことなんだなと思います。

ーー俳優としても活躍を始めている与田さん。いまは演じることに対してどんな気持ちなんですか?
普段は乃木坂46として、アイドルとして、お仕事をしているので、プロの役者さんと一緒にお仕事できるのは刺激を受けるし、普段とはまた違う課題や壁が見つかるし、とてもありがたい環境だなと思います。だからこそ頑張らないといけないのですが、その気持ちがいきすぎると“楽しさ”を見失ってしまうので、一つひとつの現場で一生懸命頑張って、その中で楽しさを見つけられるような人になりたいなと思います。
ーー最後に、与田さん目線の『量産型リコ』の見どころを教えてください。
愛くるしいキャラクターが多く、すごく身近に感じられる物語だと思います。いい意味でリアル感があって、そっと背中を押してくれるところが見どころです。
ーー与田さん自身も彼女に背中を押されているんですか?
そうですね。特に完成したドラマを観たときは背中を押されました。
『量産型リコ』
※地上波放送後よりdTVにて最新話含む全話見逃し見放題配信中!
※さらに撮影の裏側を収めた特別メイキング番組も配信予定。
https://video.dmkt-sp.jp/ft/s0007369
ヘアメイク:江原理乃
スタイリスト:菅野悠
カメラマン:小原聡太
衣装
ワンピース:merry jenny
その他:スタイリスト私物