こうして初めて犬や猫を飼った際に、飼い主がまず悩むのが「どんなペットフードをあげればいいか分からない」ということ。新たな家族を迎えるにあたって、その健康をどのように気遣えばよいか?そんな飼い主の不安に応えているのが、犬と猫に真の健康を提供するフードを世界100ヵ国以上で展開し、支持されているロイヤルカナンだ。
同社ではアジア・太平洋地域を主力供給先とする新工場を、2018年9月に韓国の全羅北道 金堤(キムジェ)市にオープン。現在、日本向けにも一部の製品を、この工場から出荷している。今回は同工場で、原材料の調達、生産計画、倉庫管理、出荷などサプライチェーンを管理していた経験を持つ、ロイヤルカナン ジャポン 横浜センター ファクトリーマネージャーの草野淳子氏に、ロイヤルカナン韓国工場の最新事情を聞いてみた。
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犬種・猫種や年齢以外のペットフード選びのポイントは?
―― コロナ禍の中で、犬や猫を飼い始める人が増えていますね。
草野:変化する生活の中で、ペットに癒しを求める人が増えているようです。なかなか外出できない状況ですから、やはり自宅にいる時間を豊かにしようという方が多いのではないでしょうか。
―― 一般に犬や猫を飼っている人は、犬種や猫種、年齢に合わせてペットフードを選んでいるという話を聞きます。他に、どのような点に注意して、ペットフードを買えばよいのでしょうか?
草野:犬種・猫種や年齢だけでなく、身体の大きさ、ライフスタイル、健康状態などによっても、必要とする栄養が変わります。このような状況に対応すべく、ロイヤルカナンは、日本で250種類以上のペットフードを展開していますが、その一つ一つを栄養バランスやキブル(フードの粒)の形状にこだわって開発しているんです。
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―― 犬や猫の品種ごとに考案されたキブルのサンプルが展示されているのを見たことがありますが、穴が空いたドーナッツ型、外側と内側で質感が異なるピロー(枕)型、X型など様々な形状のものがあるようですね。
草野:いくら必要な栄養を満たしていても、犬や猫がちゃんと食べて、きちんと消化できなくては意味がありません。我々のペットフードは歯や顎の形や食べ方に適した形状や、口当たりの良さ、咀嚼のしやすさなど、犬種・描種ごとのニーズに合わせて考案・設計されています。先ほどお話があったドーナッツ型のものは、より満腹感を得やすいのでダイエット効果が期待できるんです。また、咀嚼中にキブルが歯を擦ることから生じる機械的作用によってブラッシング効果が期待できるものもあります。歯石がたまりやすい犬種にはオススメですね。こうしたペットフードの形状や密度については、フランス本社で実際に犬や猫に食べてもらい、そのテストの結果をフィードバックしています。
―― 飼い主さんは歯石に結構気を使っていますよね。
草野:犬の歯磨きに苦労している方もいるので、日々の食事でケアできればと考えています。
犬や猫の“健康寿命”を第一に考えたペットフード選びが大切
―― ペットフードを購入する人は増えているのですか?
草野:生産数は伸び続けていますね。そのような中、犬や猫に『どんなフードをあげたらいいか?』と、悩んでいる方が多いようです。多くの時間を家族同然に過ごしていますから、『健康で長生きしてほしい』という意識が高まっているのではないでしょうか。
―― 犬や猫に健康で長生きしてもらうために、ペットフードの開発などで意識していることはありますか?
草野:犬や猫は歳を重ねると、必要な栄養バランスが変わってくるので、高齢なペット向けのラインナップを増やしています。また、肥満は健康寿命に密接に関連しているので、適切な量で満足できるような配慮も必要ですね。
―― ペットの平均寿命は延びていますよね。
草野:昔は「10歳まで生きてくれれば」という話も聞きましたが、ペットフードや獣医療の進化、ワクチン接種の普及や飼育スタイルの変化などにより、寿命が伸びています。
―― ペットと過ごす人生を、今までよりも長い目線で考えることが必要ですね。
草野:そういう意味では、ロイヤルカナンは獣医師、ブリーダー、ペット専門店などペットの専門家と協力し、ペットのためのより良い世界をつくることに尽力しています。犬と猫を真の健康に導くヘルスカンパニーとして、ペットとペットオーナーが豊かな未来を歩むお手伝いができればと考えています。
世界共通基準で高品質なペットフードを提供
―― ペットと飼い主が幸せな関係を築くために、開発で心掛けていることはありますか?
草野:ロイヤルカナンは、個々の栄養ニーズをきめ細やかに満たすことで、一頭一頭の犬と猫に真の健康を提供します。“真の健康”とは、単に「病気でない」ということではありません。美しい毛艶や毛吹き、目の輝き、自信にあふれた表情や身のこなしなど、「一頭一頭に備わった、その子本来の素晴らしさが引き出された状態」のことです。真の健康を保つためにどんな食事が必要になるのか、フランスの本社ではペットの専門家と協働しながら、長年にわたって研究を続けています。
―― その研究の成果が250種類以上のペットフードに活かされているというわけですね。
草野:はい、フランス本社で開発した製品を、共通の品質・安全管理基準のもとで、世界16カ所の工場で生産しています。各工場が独自に仕入れや製造を行うことはありません。サプライヤーについても買い付け時の監査だけでなく、1年に1~2回の再監査をするなど、徹底的なチェックを行っているので、世界中にある、すべての工場がグローバルな品質基準を満たしています。
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―― 草野さんは以前、異業種で働いていたと聞いています。こうした、グローバル品質への取り組み、社風をどのように感じられていますか?
草野:私は長くホテル業界にいましたが、ロイヤルカナンはすごく風通しの良い会社だと思います。アジアパシフィックのシニアリーダーに直接話を聞いたり、意見をフィードバックしたりできる環境にありますし、トレーニングプランも充実していますね。韓国工場でも、いろいろな体験をさせていただきました。
―― ロイヤルカナン韓国工場で働く中で、印象的だったことがあれば教えてください。
草野:フードの製造に使用する原材料は、ロイヤルカナン世界共通の厳しい品質基準を満たすと認めたサプライヤーのネットワークを通して調達されますが、厳選された原材料であっても、トラックで納入される際に、詳細な品質検査を行い、基準を満たさないものは受け入れません。こうした品質管理の厳格さは、世界に16の工場をもつグローバル企業ならではだと思います。
ロイヤルカナンの“安心・安全”への取り組みとは?
―― 2018年に設立した韓国工場は、アジアのマーケットを視野に入れたものになるのでしょうか?
草野:そうです、はじめてアジア・太平洋地域の諸国に商品を提供する工場として設立しました。工場のある全羅北道 金堤(キムジェ)市は、“韓国のフードバスケット”として知られる、豊かな自然と清らかな水に恵まれている地域です。敷地面積は約10万平方メートル。日本をはじめ、韓国、香港、台湾、タイ、オーストラリア、ニュージーランドに製品を出荷しています。
―― これまでの工場とは何か違いがあるのでしょうか?
草野:やはり最新鋭の設備の導入でしょうか。例えば、最新の原材料クリーニング設備(クリーニングタワー)では、すべての原材料から確実に異物を除去できますし、異物の混入を防ぐためにベルトコンベアではなく最新のモバイル・パッキングシステムを利用しています。嗜好性と消化率を高めるために、原材料を微粒子まで粉砕するグラインダーも導入していますよ。
―― いわゆる“安心・安全”という点での取り組みはいかがでしょうか?
草野:工場内は3つのエリアに色分してゾーニングされていて、異物などが混入しないように管理されています。1つ目が入荷した原材料が運ばれ、細かい異物などを除去するエリア。2つ目は、それを熱圧縮処理するエリア。3つ目が最終加工を行うエリアです。各エリアで働く人が別のエリアに移動することは許されておらず、清掃用具一つとってもエリアごとに色分けして管理されているんです。その上で、製造されたペットフードについては、一粒一粒のサイズや形、密度、匂いをチェックする『モーニングパネル』を、毎朝行っています。
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―― それは厳重ですね。
草野:生産はすべて計画に従って自動化されていて、それに合わせてシステムが様々な種類のペットフードを全自動で製造しています。原材料の入荷から出荷まで、ほとんどすべてがオートメーションなので、ヒューマンエラーや改ざんが起きる心配もありませんね。一つでもグローバルな基準と違うものがあると、生産ラインが止まってしまいます。
―― 製品の品質について、厳格に管理しているんですね。
草野:韓国工場には見学用の回廊があって、実際の製造工程をお客様に見てもらっているんです。これは優れたテクノロジーがあってこそのもので、製造過程の安全・安心については納得していただける自信があります。
ロイヤルカナンではペットの健康を第一に考えた製品開発を行っており、今回の取材で最新鋭の技術、徹底的な安全管理といった、その具体的な手法が明らかになってきた。大切なペットのためにフードを選ぶ上では、こうしたメーカーの努力についても知っておきたいところだ。
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