同ドラマは、病死した母が、夫や息子の精神的な助けになるよう、自分の記憶をAIに移植して遺すところからはじまる。AIは仲の悪い父子を取り持とうとあれこれお節介を焼き始めるが...。“介護AI”が普及する近未来を舞台にした切ないホームドラマとなっている。出演は、柳楽優弥、岸本加世子、市川実日子、野間口徹、奥田瑛二。
失業中の野田直人(柳楽優弥)が実家に帰ると、養父の野田誠二(奥田瑛二)がスマホと楽しそうに話していた。そのスマホから聞こえていたのは、死んだはずの母・ゆり(岸本加世子)の声。1年前、ゆりは自分の記憶を「介護AI」に移植していた。まるで生きている人間のように話し、一家団らんを作り出そうとする介護AI。
直人が実家に帰ってきたのは、実は「養子離縁届」に署名してもらうため。母が亡くなるとき、養父の誠二は居酒屋にいたという。そんな養父を、いつまでも許せなかった。AIにも「機械じゃないか」とはき捨てる直人。ある時、AIは養父であるはずの誠二と直人は実の親子という言葉を投げかける。AIは嘘をついたのか?2人は混乱し大げんかになってしまう。
野田誠二を演じた奥田は昨年12月に開催された会見で「独居老人や孤独死が多い中、亡くなった女房が一緒に過ごしてくれるということはとてもいいことではないかなと思いました。僕が生きている間にAIできたら、このドラマのように会話をしたいと思いますね。同じ想いを持っている高齢者の方もとても多いと思うので、開発されるといいなと思います」と語った。
制作統括の海辺潔氏は今回のドラマについて、企画を練りはじめたのは2年前と明かす。当時はAIをどちらかというと怖いものとして扱っていた。しかし、AIの進化とともに家の真ん中にある姿になっていったという。
介護AIが普通になった時代を描きながら、家族とは何かを問いかける。土曜ドラマ『母、帰る~AIの遺言~』は、5日よる9時から。