1日、東京都・蔵前にあるダンデライオン・チョコレート ファクトリーで、AIとともに開発されたチョコレート「あの頃は CHOCOLATE」がお披露目された。
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過去60年間の新聞記事のうち印象的な出来事があった5つの年をピックアップ。それぞれ1年分の新聞記事をAIで分析し、結果を7つの味覚指標をもとに時代のムードをチョコレートで再現した。「あの頃は CHOCOLATE」は1969 人類初の月面着陸味、1974 オイルショックの混迷味、1987 魅惑のバブル絶頂味、1991 絶望のバブル崩壊味、2017 イノベーションの夜明け味の5種類を展開する。
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NECは今回の企画にあたり、新聞テキストデータの頻出単語600語に対してチョコレートの味覚指標(甘味・苦味・酸味・サッツ感・フローラル・フルーティ・スパイシー)を付与した学習データを作成。同社のAI技術群「NEC the WISE」を活用した「NEC Advanced Analytics Platform with 異種混合学習」に学習データと大量のテキストデータから構築した意味情報を投入する。味覚指標のレーダーチャートを作成しレシピとした。
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例えば「1987 魅惑のバブル絶頂味」は、甘さと華やかさを兼ね備えたホンジュラス産カカコ70%。まろやかな桃のような甘さにジャスミンの香りが広がり、ひっときの栄華が口のなかで耽美にただよう一品に仕上がっている。「2017 イノベーションの夜明け味」は、ナッツを感じるドミニカ共和国産カカオ70%を使用。ローストの温度と時間を丁寧に調整することでバニラのような甘味、ミルクティーの茶葉の香りを引き出していいる。
NECのAIエバンジェリスト・茂木崇氏は、単語(600語)から受ける人間の味覚の印象というもともと存在しない感覚を決定するのに苦労したと話す。ただし、茂木氏はこうも指摘する。「人間の感情表現とか形容詞のなかには、味覚を使ったものって結構多いんですよ。“まずい状況”だとか“苦い経験”、“甘酸っぱい思い出”……味覚と感情は近いんだなと感じました」。こう考えると、例えば歌詞とチョコレートなども考えられるそうだ。
また、筆者は例えばAIを使ってその時の状況や気分にあった珈琲を抽出してくれるものがあったらよいではないか?と質問してみたが、「その時の状況に合わせるのか、それよりも違う状況を提案するのかは考えたほうがいいかもしれません」との答えが返ってきた。
来年、「平成」という時代が終わりを迎えるにあたり、これまでを振り返る良い機会になるかもしれない。ダンデライオン・チョコレート担当者は「この時代はこうだったよねとか話しながら、いろんな年代の人に食べて欲しい」と話す。現在同社のサイトで予約受付中で、販売は12月18日から。単品で1620円となっている。