
コードレス掃除機「Dyson Cyclone V10(以下:V10)」は、どこがそんなにスゴいのか。ダイソンで日本向け製品の開発を担当するエンジニアのサム・ツイスト氏に、V10に搭載されたダイソンの先端技術や、これからの商品開発のロードマップについてなど、興味深い話を訊くことができた。
コードレスの常識を覆すハイパワー&長時間連続駆動
V10のラインナップにはローラーの内部にモーターを内蔵するダイレクトドライブタイプを含めて、2種類のクリーナーヘッドを同梱、付属ツールを充実させた上位機「V10アブソリュート プロ」のほか、「V10フラフィ プラス」「V10フラフィ」の3機種が同時に発売される。本日3月20日からはダイソン直営店、ダイソン公式オンラインストアでの扱いがスタートする。さらに翌週3月28日からは家電量販店で順次発売。価格はオープン。

V10には新開発の「ダイソンデジタルモーター V10」が搭載されている。筐体の内部は、毎分最大125,000回という高速スピードで回転するモーターから、クリーナーヘッド、そしてスティックノズルまで直線的な配置として空気の流れを最適化した。これによりモーターのパワーを最大化して、ゴミやホコリを無駄なく吸引する。本体の周囲に同心円状に配置した14個のサイクロンもモーターへ効率よく空気を送り込むための原動力。すべての要素を組み合わせて、コードレスクリーナーの限界を超えるパワフルな吸引力を獲得している。

新たに開発されたバッテリーパックも、重量を増やさずにエネルギー密度を高めた。フル充電からの最長連続駆動は60分間以上。本体のトリガーを引いた瞬間、一気にフルパワーに達してゴミやホコリを吸い上げる。

クリーナーヘッドは、硬いフローリングと柔らかい畳の床が混在する日本の家屋事情も考えて設計された「ソフトローラークリーナーヘッド」を同梱する。ナイロン製のフェルト生地で覆われた大型のローラーが大きなゴミをつかまえて、さらに静電気の発生を抑えるカーボンファイバー素材のブラシで微細なホコリやチリをかき上げながら残さず吸い取る。上位機の「V10アブソリュート プロ」には、ローラーの内部にダイレクトドライブモーターを乗せて、クリーナーヘッドの幅全体を使った掃除を可能にした。

新開発のV10モーターには圧力センサーも組み込んだ。これによりテーブルやソファの上と、床の高度差をクリーナーが自動で判別しながら吸引力の微調整をおこなう。

本体のダストケースにたまったゴミを捨てる時も、なるべく手を汚さず衛生的に操作ができるよう、本体外側のスライダーを操作しながら、ケースの内部からゴム製のヘラがたまったゴミやホコリをかきだして、ゴミ箱に向かってまっすぐにゴミを落とせるような機能的なデザインに仕上げた。
ユーザー目線で日本市場にもフィットする製品を開発する
インタビューに答えてくれたサム・ツイスト氏は、ダイソンの社内で日本地域に特化した商品のマーケティングリサーチと企画・設計をリードするエンジニアだ。「私の仕事は日本市場でダイソンの製品を使っていただいている方の声を丁寧に組み上げて、現行製品のサポートや次期製品の開発に活かすための土台をつくることです」とツイスト氏が自身の役割を語っている。

ダイソンのブランドと製品は、日本市場に上陸してから早くも14周年を迎えた。「私たちにとって日本は非常に重要なマーケット」とツイスト氏は語っているが、特に今回のV10については日本市場からのフィードバックが随所に活きているという。その一例が先述のクリーナーヘッドだが、ほかにも本体の後ろ側に装着するクリーンフィルターが、誤って外れたまま動かないようにトリガーのロック機構も設けた。世界各国のユーザーから寄せられる声が、ブランドの誕生以来“ユーザーファースト”の目線で製品を開発してきたダイソンの血肉になっている。

新製品のV10が発表されたばかりだが、ツイスト氏に今後のダイソンの商品展開について訊いてみた。ツイスト氏は「ロードマップ上では200件を超える次期製品のプロジェクトが進行している」という。その中にはインターネットにつながる、いわゆるコネクテッド家電も含まれている。ダイソンがどんなコネクテッド家電を造るべきなのか、ツイスト氏には明確な答えがあった。「ただやみくもにインターネットやモバイル端末につながるだけではユーザーに混乱を与えてしまいます。それぞれの家電が本当に必要とする便利な機能を実現するために、コネクテッド機能をつくりこむ必要があるとダイソンは考えています。ぜひ今後もダイソンらしい革新的な製品の登場に期待してください」と、ツイスト氏は意気込みを語ってくれた。
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