同作は、「写真時代」「ニューセルフ」など、伝説的なカルチャー・エロ雑誌を世に送り出した編集長・末井昭氏の自伝的エッセイを、俳優・柄本佑を主演に迎え、冨永昌敬監督が映画化。7歳の時に母親が隣家の若い息子とダイナマイト心中するという壮絶な体験をした末井青年が、工員、キャバレーの看板描きと職を転々としながら、70~80年代のサブカルチャーを牽引する伝説の雑誌編集長となっていくまでを描く。3月17日よりテアトル新宿、池袋シネマ・ロサほか全国公開。
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また、同作の主題歌「山の音」は菊地音楽監督のたってのリクエストで、“爆発する母”を演じた尾野真千子と、原作者の末井昭氏が歌うという、“前代未聞の時空を超えた母子デュエット”となっている。
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隣家の若い息子とダイナマイト心中する母親役を演じた尾野は、主題歌を歌うことについては、「『お母さんだから』という逃げられない理由があったので、逃げようがなかったです」と振り返った。
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菊地音楽監督は、尾野の歌唱については、事前の情報収集をしなかったそうだが、収録スタジオで尾野の歌に触れて、「(尾野は)歌うのは苦手」かと思ったそう。しかし、「さすが女優さんだなと思ったのは、(デモの歌声の)小田朋美さんが歌った仮歌にそっくりに歌われるようにしてきたので」と尾野を絶賛した。
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レコーディングについて、尾野は「何回か歌って、(ガラスの向こうで)何か言っているなということはあるのですが何を言っているのか分からなくて、『もう1回』、『もう1回』みたいな。たまに『いいですよ』みたいな」と不安と共にレコーディングをしていたことを明かした。
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尾野が「悪いことを言われているのか、『いいよ』と言われているのか分からないのですよ」とボヤくと、菊地音楽監督は「あれは被害妄想的になりますよね。プロでもなりますよ」と補足。尾野の口からは「もう、悪口を言われていると思った。『あいつ、下手だな』とか、『やべえな』とか。被害妄想が凄かった」とも。
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実際は、菊地音楽監督いわく、尾野の歌については「ざっと全体に軽く修正しただけなので、ほぼほぼ無修正です。歌手でもそんなにいないです。よっぽど上手い人ではないと」という。まだ、菊地音楽監督は、サントラ盤も、尾野が主題歌を歌っているためにリリースすることになったエピソードを明かした。
尾野は、「サントラもですが、映画がもうすぐ公開なので楽しみにしてください」とメッセージを送った。照れがあったのか「サントラは、ちょっと恥ずかしいので、どっちでもいいです(笑)」とジョークを交えて笑いを誘った。