そして、この日の午後は本社を訪問、無理やり企画会議に参加させていただきました。参加メンバーは、山光博康社長をはじめとする社員の方々。会議では腕時計のベルトに付けておくと、スマホの着信時に“ブルっ”となる小型デバイス『ウォッチブル』の第2弾と、スマホのアラームが鳴ると振動する、耳栓型の小型デバイス『耳栓アラーム』(仮称)のベータ版(最終サンプル)の完成具合をチェック。どちらも9月に発売予定らしく、結構大詰め。山光社長いわく、毎週2~3種類は新製品をリリースしているのだとか。そんな数の商品のアイデアどうやって出てくるんですか、山光社長?
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「毎週社員に“企画案”と“困っていること”を掲示板に書き込んでもらっていて、そこからネタを選抜しているんです」
困っていること?
「そうです。あっ、この機会にみんなに伝えておきたいんだけれど……」
えっ、なんか急に空気が重々しく……。
「最近、“困っていること”の書き込みが少ないけれど、それじゃダメだから。“困っていることがない”というのはありえない。基本的に生活していると不便なことはあるけれど、それはそういうものだと固定概念化されている。そこが問題で、その固定概念を取っ払って問題を解決していかないと企画が出てこないし、本質的に困っていることを解決する商品を作れない」
でも、ずっと生活してきた固定概念を振り払うのって難しいですよね。
「そうですね。でも、肩の力を抜いて素になって考えてみると、ホワって出てきやすかったりするんです。解決方法が“ない”と思っていると、“ある”のに見えてこない。“ある”と思って探せば見えてくるはずなんです。耳栓アラームとかは、奥さんの隣りで寝ていて、ひとりで目覚ましで起きたいというときに、いままでは布団が盛り上がる仕組みとかはあったけれど、そうでない方法が“ある”と思って作られたものだから」
確かに、サンコーさんの商品ってなくても過ごせるけれど、あると便利なモノって多いですね(笑)。
「そうなんです(笑)。我々の商品は“ダメ人間製造マシン”的な評価が多くて、常に“ラクをしよう”という感じの方向で考えているからこそ、世の中には出ていない、面白くて役に立つ新商品を作れているのだと思います」