SBIソーシャルレンディング(SBISL)は3日、モビリティIoTベンチャーのGlobal Mobility Service(GMS)が開発したIoT端末「MCCS」を活用し、債権保全力を強化しながら新興国における貧困・環境問題の解決をサポートすることをテーマとするローンファンド「SBISLテレマティクスローンファンド1号」を組成し、運用を開始したと発表した。 本ファンドは、ソーシャルレンディングの仕組みを用いて広く投資家から資金を募り、フィリピン共和国にて「MCCS(Mobility-Cloud Connecting System)」を取り付けたトライシクル(三輪タクシー)の割賦販売事業者の事業資金に対応する融資を行うというもの。 GMSが開発した「MCCS」は、自動車やバイクなどに設置し、遠隔でエンジンの起動制御や各種情報センシングが可能なIoTデバイス。盗難対策等に活用できるほか、割賦購入者の支払い延滞が続いた場合に車を遠隔で停止し位置を特定して回収することができる。 またソーシャルレンディングとは、「お金を投資したい人(投資家)」と「お金を借りたい人(借手)」をインターネットを通じて結びつける、新しい形態の金融サービス。インターネットを活用することで低コスト経営が可能になるため、そこで生まれたコストメリットを投資家には高利回り、借り手には低金利という形で双方に還元することができる。 一般的に新興国においては、信用情報機関の仕組み等、先進国のように金融サービスを提供するための環境が整っていないことが多く、借入等の金融サービスを受けられる層が限られている。 MCCSを取り付けることで債権保全力が強化され、より多くの人を割賦販売の対象とすることが可能になり、購入者がトライシクルドライバーとしての職を手にすることで生活水準の向上が期待される。 また、フィリピンでは排気ガスによる大気汚染が深刻な社会問題化しているが、これは排気ガスの多い車両が走行し続けていることが大きな要因とされている。本ファンドを通じBOP層(Base of the Pyramid=低所得者層)の人々が従来型の排気ガスの多い車から低排気ガスのクリーンな車へと買い換えることを促進することで、環境面での貢献も期待できるという。